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切り取られた青空-いと-38

「で、どうしてあんなこと言ったの?あれじゃ彼女より先に君が傷つくだけじゃないか。」
「私が傷つくことなんて何とも思わないわ。私は亮平さんがコケにされたみたいでそのままにできなかったの。」
確かに、かりんが夫に愛されていたと聞くのは、たとえ時が経った今でも気分の良いものではないが、仕返ししたいとまでは思わない。私には今、香織が、晃平がいるのだからそれで充分だとも思っている。それから私が、
「それでも、君のブログに誘うのはいくらなんでも…彼女はきっと来れない。」
と言うと、香織は被りを振ってこう返した。
「コメントは残さないかも知れないけど、あの人は来るわ、たぶん。だって、女だもの。」
女だから?私は香織の答えが理解できなかった。
「あの人、晃平の月齢を聞かなかった。明憲くんと同じ位とは言ってたけど。あの人も2人の子供の母親だもの、晃平の様子を見て、亮平さんがあの人と別れたのと、晃平を妊娠したタイムラグがほとんどないことに気づいてるはずよ。でも、晃平の月齢を聞いてそれを直接確認しなかった。私が前のままのアドレスでいることを教えたのはそのせい。きっとあの人は、私のブログでそれを確認するはずよ。そして、亮平さんのあの人への想いがそれほどじゃなかったって思わせたい-これが私の本当のあの人への復讐なのよ。」
私はもう、何も言えなかった。


香織は大きくため息をついた。彼女は何か一仕事終えたような、そんな清々しい顔をしていた。そして、その後自分のお腹をひとなでして、
「これで、心置きなくこの子を産めるわ。」
と言ったのだった。

「香織それって!」
2人目がお腹にいるということなのか?!
「今度はつわりもなくて、晃平のおっぱいとかで長いことなくても、それがあまり気にならなくて、気付くの遅かったし、それから、判ったときにはこの旅行決めてたし…黙っててごめんなさい。」
香織はバツが悪そうに頭を下げながら言った。
「君ってどうしていつもそうなんだ!もしもの事があったらどうするつもりだ!!」
君をもし失うようなことがあったら、今の私はあの時君が言ったように死んでしまうだろう。そう思った。
「だから、本当にごめんなさい。もう安定期だし、晃平に合わせてるからスケジュールも楽だし大丈夫だと思ったの。許して?」
そう言うと、香織は私に向かって手を合わせた。
「で、病院にはもう行ったの!」
引っ込みがつかなくなった私は、プリプリときつい口調でそう言った。
「ええ、16週…」
私が怒っているので、香織はおずおずと週数を答えた。16週…4月も終わろうとしてるじゃないか!
「で、何で、1人で行ったの!」
「…亮平さん?怒ってるところってもしかしてそこなの?!」
香織は何とも言えないという表情に変わった。
「もちろん体の心配をしているんだ。でも、僕は晃平の時に一緒に行って感動したんだよ。それを独り占めするなんてずるいとは思わなかったのか?しかも何日も秘密にして…」
そして、香織は私が怒っている理由を聞くとけらけらと笑い出した。大笑いしていたけれど、その目には涙が光っていた。
「ねぇ、亮平さん、私今世界で一番幸せだわ、きっと…」

My bloody sweet angle、強くて優しい私の天使-
たぶん、世界で一番幸せなのは…私だ。

                                       -The end-


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