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赤ちゃんパニック 5

「痛ってぇ! 何しやがんだよ!!」
「乙女の気持ちを踏みにじったのよ。当然でしょ」
「誤解だっ。コレには込み入った事情があってだな」
「誤解ですって!? 確たる証拠を前に何が誤解よ」
真相を説明しようとしている俺のことを聞く耳を持たず薫は、足を肩幅に開いて俺をにらみつける。
「何が確たる証拠だ」
その薫を俺もまた睨み返す。俺は悪くねぇんだ、ここで怯んでたまるかよ。
「応接室に鮎川のスーツに包まった赤ちゃん。こんなのどう考えたって、あんたがどっかのおねーさんを喰っちゃった結果でしょ」
「違げぇよ。大体、コレ俺のスーツじゃねぇ」
薫の剣幕に、俺はそう言って部屋の隅にかけてある俺のスーツを指さした。
「じゃぁ、宮本君の? そんな訳ないわよね」
すると、今度はその怒り狂った顔を驚きに変えてビクトールを見る。そして、
「あれ、宮本君なんでそんな変な格好してる訳」
と、ビクトールの出で立ちをみて首を傾げた。おい、随分俺とリアクション違うじゃねぇか。おまえの年下の叔母の婚約者の宮本は、条件的には俺と同じだろうが。その婚約者がまだガキの分だけ、鬼畜度増しだと思うけどな。まぁいいや、ホントにどっちのガキでもないから。
「あ、私は美久ではありません。美久の映し身、ビクトール・スルタン・セルディオと申します。ちなみに本物の美久はそこに」
それに対して、ビクトールはそういって、ぶっ倒れている宮本を指さした。
「ええっ、宮本君って双子だったの?」
ま、普通そっくりさんがいたらそう思うわな。それに対して、俺は首を横に振って説明を始めた。
「いや、こいつは宮本のドッペルだ。実はさ、一年前の事故の時、俺たちは本当は事故ってなかったんだよ。大怪我して死にかけてた俺と宮本のドッペル-こいつだけどよ、と入れ替わって、オラトリオっていうパラレルワールドにいた。
宮本、あっちで魔法覚えてきちまったんだよな。ただ、あいつ本人はオラトリオのことは夢だと思ってるから、今でも魔法が使えるとは思ってないだろうけどよ。
んで、その魔法でこいつをガキに変えちまったんだよ。こいつは今日のクライアント中司彰教(なかつかさあきのり)」
「ちょ、ちょっと、鮎川、魔法とか、パラレルワールドとかって、あんた正気?」
俺の説明にしばらくあんぐりと口を開けていた薫だが、こいつの正体を明かしたところで、やっとツッコミが入る。
「正気も何も、事実だ。現に宮本と宮本のドッペルが揃ってここにいるじゃねぇか」
「でも、そんなのあり得ないわ。二人で私を担ごうとしてるんでしょ。アレはマネキンに宮本君の服を着せたんでしょ? その手にはのらないわよ」
「正真正銘生身の宮本だ、何なら蹴り飛ばしてみろ、魔力の使いすぎでぶっ倒れてるだけだから、起きなくても反応ぐらいはするから」
薫は俺が宮本と組んでドッキリにかけようとしていると思っているようだ。俺の話を全く信じようとはしない。ある意味それは正常な感覚ではあるんだが……けどよ、コレは事実なんだよな。『事実は小説よりも奇なり』って言うだろうが。
 俺と薫がそんな不毛な睨み合いをしていると、ビクトールが、俺につかつかと近寄ってきた。、奴は、薫に分からないように目配せして俺に中司(ガキ)を渡すと、
「ガザの実もお渡ししたことですし、私はこの辺で。美久も実を食べて安静にしていれば、明日には対逆魔法をかけることができるでしょうし。私が成すべきこともないでしょうから
では、鮎川様、薫様、ごきげんよう」
とかなり深々と頭を下げた後、さっき出て来たホワイトボードの前に立ち、いきなり手をズボっとホワイトボードの中につっこんだのだった。




 
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