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番外、綺麗なお嬢さんは好きですか?-帰ってきた道の先には38

 今日は久しぶりのお休みで、絵梨紗ちゃんとデート。
 待ち合わせに現れた絵梨紗ちゃんは小花柄のチュニックに白いレースのミニ丈のティアードスカートに、編み上げサンダル。まるで絵本から出てきたみたい。僕は鼻血が出そうになって、思わず鼻を押さえた。
 行き先はビルの森の中にある水族館。海の生き物には本当に癒される。特に、勇壮に勢いよく泳ぐマグロの大群は本当に……旨そう。そう思ったら無性におなかが空いてきた。それもそのはず、そろそろお昼だ。
 マグロを見た後だったんで僕の口はどっちかと言えばお寿司を要求していたんだけど、とりあえず絵梨紗ちゃんの意向を聞いてみる。
「何か食べたいもの、ある?」
すると、
「うーん、ケバブ食べてみたい。確かこの辺においしい店があるって聞いたんだ」
という答えが返ってきた。ケバブというのはトルコ料理。平ったく言えば焼き肉みたいなものだ。まだまだ小学生の絵梨紗ちゃんは、ご両親か谷山先輩としかこの街にきたことがなく、歩きながら頬張るようなその店のケバブは、お行儀が悪いと食べさせてもらえなかったのだという。
 その教育方針をあっさり曲げて一緒に買い食いしても良いものなのかと思わなくもなかったけど、僕の賤しい口はケバブと聞いただけで口の中に肉汁を待つ始末だったので、あっさりとその誘惑に負けて彼女の言うケバブのお店に向かい、ドネルケバブを一つずつ買い、食べながら歩いた。
 半分くらい食べただろうか、その時僕は、
「ヨシ、久しぶり」
と呼び止められた。振り返るとそこには中学時代の同級生の佐々木がいた。
「久しぶり、元気だった?」
「おう、まあまあな。なんとかもぐりこんで会社員やってるよ。ヨシは」
「うん、僕も似たようなもん」
と僕たちはお決まりの挨拶を交わす。すると、佐々木は絵梨紗ちゃんに眼をやって、
「ところで、横にいるのは、妹……じゃないよな。おまえんち男ばっかだったもんな。カノジョ?」
と言った。僕は男ばかりの3人兄弟の末っ子だ。佐々木はそれを知っている。
「うん、ああ」
と、それに僕は適当に相槌を打つ。すると、僕を横目で見ていた絵梨紗ちゃんが、
「はじめまして、宮本美久の婚約者の櫟原絵梨紗(いちはらえりさ)です。宮本がいつもお世話になってます」
と言って、佐々木に頭を下げる。見るとちょっぴりふくれっ面だ。恋人として紹介してもらえなかったのが不満らしい。
「こ、婚約者ぁ!」
一方、それを聞いた佐々木は信じられないというのがありありと判る顔をしている。
「うん、一応」
別に隠したい訳じゃないんだけどね、やっぱり婚約者って響きは照れくさいから。僕がそう思いながら頭を掻いていると、佐々木は俺の腕をとって強引に5~6メートル向こうに引っ張っていくと、
「お、お前、婚約者って、あの子いくつだ」
とひそひそ声で聞く。
「うん? 12」
この間誕生日がきたから、12歳になったはずだ。
「12!?」
絵梨紗ちゃんの歳を聞いて佐々木がまた素っ頓狂な声をあげる。
「お前それ、犯罪だろ」
「人聞きの悪いこと言わないでよ、アブナイことなんかしてないから、犯罪じゃないよ」
佐々木の言いぐさに、僕は不満がましくそう答える。
「でも、婚約者なんだろ」
「結婚してるわけじゃないし」
「結婚できないの間違いだろ」
佐々木はそう言ってため息をついた後、ニヤリと笑うと、
「それにしてもヨシがロリだったなんてな」
と言った。
「な、何だよ、それ。そんなんじゃないよ」
「じゃぁ、政略結婚か?」
「そんな政略立てるほどの金持ちじゃないよ」
「だろ? 何にしたって、自分の半分の歳の娘と結婚しようなんて考える時点でロリ決定だろうが」
「あ、これにはさ、いろいろと深い訳があって……」
絵梨紗ちゃんはエリーサちゃんで、エリーサちゃんは最初マシューで、僕は彼女が大男だったときから好きだから、決してロリコンなんかじゃないと心の中では言いつつ、でもそんな夢の話をするわけにもいかず、口ごもった。僕の答えに佐々木は、
「ま、な。小学生ならお前より背が高いなんてことないもんな、でもあの子ハーフっぽいじゃん。その内逆転するんじゃね?」
と返す。ううっ、内心気にし始めてることをさらっと言うんじゃない! そうさ、愛情は身長じゃない、身長じゃない……と思いたい。
「ねぇ、ビクいつまでお話してるの!」
そのうち、男たちのひそひそ話に痺れを切らせた絵梨紗ちゃんが仁王立ちで怒っている。
「あ、悪ぃ。引き留めちゃったみたいだな。それにしても『ビク』なんて呼ばれてるわけ? ヨシ」
すっかり今から尻に敷かれてんじゃんと、佐々木は吹き出した後、
「俺はやっぱ、きれいなおねーさんの方が良いな。カノジョにおねーさんとかいないの」
「いるよ」
「おっ、その子いくつ」
「25」
「俺らより年上? いやぁ、歳離れてんだな。けど、年上もそそられるねぇ、是非紹介してよ」
佐々木はにやにやしながら、僕にそう言う。
 そう、絵梨紗ちゃんには確かにお姉さんがいる。僕、ウソは言ってない。
 だけど、その人僕の先輩の奥さんなんですけど。先輩に殺されてもいいんなら紹介くらいはしてあげるけどね。
(先輩今、超デレモードだからね、何されても責任持てないよ。それでも良いんだったらね)
僕は心の中で佐々木にそう言って、口角をあげた。






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