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二ホン語は難しい-希代の魔術師 2

【さてっと、乗る前に服だな。おいお前、ちゃっちゃとこれに着替えろ】
 俺は車のトランクから宮本のスーツを取り出すと、女顔の魔術師(ビクトール)に放り投げた。奴はそつなく受け取りはしたが、顔が何故だと言っている。
【お前、ドッペルなんだから、宮本の服も着られるだろ】
【たぶん、着られるとは思います。ですが、先ほどから何度かお聞きします、ドッペルとはなんですか?】
【ドッペルってのはドッペルゲンガーじゃんかよ……人には全く同じ顔をした人間が3人いるっていう。英語じゃねぇのか?】
ビクトールはコクリと頷く。じゃぁ、何語だ?(作者注:ドイツ語です。ただ、それを唱えた学者はオラトリオにはいませんけどね)
【鮎川様の世界ではそういう風に言われているんですね】
【ああ、ちなみにそういう奴に全部あったら死ぬって言われてる。俺もあんたも一人目には出会っちまったから、もう一人には死んでも会わないようにしねぇとな】
 そんな無駄話をしながら俺はビクトールが宮本のスーツに着替えるのを待つ。城を出る前にこいつは血みどろの宮本の服から、自前の魔道士が着るローブに着替えていた。 ま、ポンコツだとは言え、血みどろで運転なんてしてもらいたかねぇけどよ、超初心者がローブで運転すんのもNGだ。足下は女のスカートと変わりないが、あの極端に広がった袖は事故の元だろうからな。
 かと言って、このミニサイズじゃ、城の他の騎士の服なんてぜんぜん合わねぇだろうし……そこで思い出したのが、ここ(車の中)に入っていた宮本のスーツだ。
 そして、誂えたようにピッタリの(実際こいつのドッペルの宮本が誂えたんだが)スーツに身を包んだビクトールは、このまま会社に出勤しても誰も疑わないほど宮本そっくりだった。けどよ、スーツがここにあるってことは……
【おい、服はどうしたんだよ、俺やあいつのスーツがここにるのに、何で変に思われなかったんだ?】
俺の素朴な疑問に、ビクトールは、
【それはですね、殿下や私を看る治癒者や警備隊不審に思われないように暗示をかけたんです。下手に同じような物を用意しても時間がかかるだけですし、重傷の殿下にそれを着せるのも一苦労です。一つ間違えば、お怪我を悪化させてしまうかもしれないですからね。ならば、彼らに違和感を感じさせなければよいのだと思いまして。結局、治療のために衣服は切り刻まれてしまいましたしね】
と答える。
【へぇ、便利なことで】
ま、その術とやらで、このポンコツも張りぼてと見事にすり替えたって訳か。で、それをこいつが乗る。ある意味詐欺だな、こりゃ。
【んでさ、宮本がガソリン作った町に行きゃあと1回分位の給油は出来っと思うけどよ、それからどうすんだよ。魔法ででも走らすつもりか?】
【いいえ、エリーサ様がそのガソリンという物に関しては詠唱文言をを覚えてくださっているというので、以降はそれで私が作ります。ただ、かなり魔力を消費するようですので、トレントの森に戻って休息がとれるようにしてからになると思いますが。鮎川様、それまで保ちますでしょうか 】
【ああ、往復で150マイル(約400km)位なんだろ、それならなんとかなる。しかし、あのお姫さんレシピなんか覚えてんのか】
俺にはなに言ってんのか全くわかんなかったけど。ま、あいつは宮本と違って正真正銘魔女だからな。
【大丈夫ですか、それはよかった】
ビクトールは俺の答えにほっと胸をなで下ろした後、ちょっと申し訳なさそうに、
【何度もすいません、つかぬことを伺いますが、そのレシピというのは何でしょう】
と聞く。
【へ? レシピも英語じゃない?(フランス語です)じゃぁ、レセプト、これも英語じゃねぇって?(これはドイツ語です)日本語じゃどう言うんだったかな。ああ、作り方だ作り方!】
【ああ、作り方のことですか。ニホン語は本当に難しいですね】
ビクトールは意味が分かると、にっこり笑ってそう返した。日本語は本当に難しい……ってか外来語、元々日本語じゃねぇんだよ、それ!  
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