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Turning Point 7

 献金をして、そのお祈りが終わった後、司会者は、
「今日も新しく教会に見えられた方がおられます。えーっとお名前は……寺内さん紹介してもらえる?」
すると、博美さんは、
「私がですか?」
と一旦言ってから立ち上がり、私たちにも立つように促すと、
「故寺内の会社の方で菅沼さんご夫妻です。私も名字しか知らないので」
と言って、私たちに申し訳なさそうに頭を下げると、
「すいません、自己紹介お願いします」
と言った。と言っても、どう言えばいいの? と思っていると、篤志が
「菅沼篤志です。寺内さんとは職場の同僚です。こっちは家内の冴子です。以前は家内も勤めていたので、寺内さんのお通夜に二人で寄せてもらって、今日ここに来ました。教会のことは何も分かりませんがよろしくお願いします」
と、率先して挨拶した。当たり障りないことを言ってるだけのようだが、後から考えると続けて来ることを前提で話しているようにも思える。私は彼が話し終えるのを見計らって一緒に頭を下げた。会場が拍手に包まれる。
 私たちの挨拶が終わると司会者は諸事の報告を始めた。それによると、今日は愛餐会と言う食事会があるらしい。
初めての私たちは帰れる時間さえ判らなかったので、たまには二人で食事も良いかと、息子たちのお昼を用意してでてきていた。それを知ると博美さんは、
「是非残って行って。聖餐式の時には礼拝時間が押すから、みんなが一品ずつ持ち寄って食べるんです。そんな豪華な料理ではないけど」
と、残って食事してほしいと言った。私が、
「私たちが残ったら足りなくならないですか」
と言っても、
「みんな2~3人分持ってきてるし、余ってもまた他の人のを持って帰るだけだから」
と、まだ引き留める。どうせ帰りがけに寄ると言っても、帰りまでの道中にあるラーメン屋かドライブインだ。それよりも何日か前からCMが流れていたから、篤志お気に入りのハンバーガーショップで期間限定のプレミアムバーガーを食べる確率が高い。でもどっちかと言えば、私はハンバーガーは苦手だ。子どもたちも今より小さかった頃、キッズセットのおまけにつられて時々食べたがったが、子どもたちの横で私はコーヒーだけを飲んでいることが多かったし、教会の人たちが丹精込めたおかずというのにもそそられる物がある。
 そして、残った私たちの前に現れたのは、ホテルの朝食バイキングかと思うようなラインナップだった。確かに一品一品はごくふつうの家庭料理だ。しかし、ちゃんと分担分けされて作られたそれは、とても豪華な食事になっている。それが食材を持ち込んだ人は無料で、持ってこなかった人も300円で食べられるのだ。しかも、私たちは初めて教会に来たということで、今回は無料で良いと言われた。
 別に、誰からも変な目で見られることもなく、私たちは料理を堪能して、長い休日の半日を過ごした。

「立ったり座ったり、結構忙しかったけど、面白かったね」
「また来ような」
とんでもなく満腹になった帰りの車内で、別に食べ物につられたわけではないが、私たちはどちらからともなくそう言っていた。




 
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