スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

Turning Point 5

 翌週には用事があり行けなかった私たちは、その次の週、早速教会の礼拝に出席した。
「ようこそ。よくいらっしゃいました」
玄関先で受付の女性がそう挨拶した後、
「この教会は初めてですか?」
と聞いてきた。結婚式と前夜式には来たけれど、教会らしい教会は今日が初めてだ。
「はい」
と私が頷くと、
「では、お手数ですがこちらの用紙に礼拝が終わるまでで良いですので、ご記入願えますか?」
と、週報と書いてある礼拝の式次第、聖書・賛美歌とともに、一枚の用紙をバインダーに挟んだ状態で私に差し出した。アンケートのようだった。来会のきっかけ、信仰歴(何故こんな質問事項があるのか、このときは解らなかったが、この教会が始めてでも、転勤や旅行などで別の教会に通っているということの方が、実は多いのだということを後で聞いた)聖書を読んだことがあるか、メッセージがどうだったかと、事細かに記入するようになっている。
「冴子、頼むな」
すると、篤志は事務屋のクセに、さっさと私に放り投げってきた。
「私だってわかんないわよ」
と、むくれて私が返すと、それを聞いていた受付の女性が、
「そんなに堅苦しく考えないでとりあえず、ご連絡先だけでけっこうです。これは集会のご案内を差し上げるためのものですから」
と付け加えた。見ると、用紙の末尾にも同じことが書いてあった。
 それを持って私たちは礼拝堂の一番後ろの座席に座った。
 しばらくすると、がやがやと幾人もの子どもたちが礼拝堂に入ってきた。母子室で行われていた子ども礼拝が終わったのだ。出席しているのはほとんどが信者の子弟で、終了後親の所に一旦来るのだ。
 それから程なくして博美さんが礼拝堂に姿を現した。
「菅沼さん、来てくれたの!」
彼女はそう言って破顔する。そのままハグされそうな勢いだ。そして、
「ねぇねぇ、そんなところにいないで一緒に座りましょう」
といって、前から2番目の席を勧める。確かに長椅子は三人掛けだったけれど。
「お母さん、、新しく来てくれた人を困らせちゃだめじゃない。お父さんの会社の人なんでしょ」
「だって、全然知らない人が座るよりいいでしょ」
そこに来た長身の女の子が博美さんをたしなめる。ああ、この子が先輩の娘さんの明日美さんか。
それに対して博美さんは小さな子どものようにむすっと頬を膨らませていた。親が頼りないと、子どもがしっかりすると言うが、まるで親子が逆転しているような感じだ。
「お嬢さんと一緒に座らなくていいんですか?」
と私が聞くと、
「あの子はお義父さんたちと座るから、いいの」
と返してきたので、全く知らない人が横に来るよりは良いかと、彼女の言う席に移動する。そして、しばらくして礼拝が始まった。


スポンサーサイト

theme : オリジナル小説
genre : 小説・文学

comment

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます
Secret

プロフィール

こうやまたすく

Author:こうやまたすく
FC2ブログへようこそ!

最新記事

最新コメント

最新トラックバック

月別アーカイブ

FC2カウンター

カテゴリ

Web page translation

検索フォーム

RSSリンクの表示

リンク

ブロとも申請フォーム

QRコード

QRコード
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。