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道の先には……27

「フローリア」
「はい?」
先輩がお姫様を呼ぶ声に、谷山先輩は疑問形で語尾を若干上げて応える。
【フローリアってんだぞ】
先輩は今度は英語でそう聞く。
「だから何だってのよ」
谷山先輩はそれに対して若干ウザ気にそう返す。
「お前薫だろ、何返事してんだよっ!」
「鮎川こそ何言ってんのよ、フローリアは私の英名! 薫は日本名!!」
「は? 英名とか日本名とかセレブなこと言ってんじゃなぇよ、薫のくせに。お前、ばーちゃんがイギリス人なだけだろ」
「イギリス人だからよ。私ね、教会で幼児洗礼受けてるの。フローリアはその洗礼名なの! だけど鮎川がなんでその名前を知ってんの?」
「俺の夢の中に出てきたお前にそっくりな女がその名前だったんだよ」
谷山先輩の思わぬ発言に、先輩は舌打ちをしながらそう答えた。えっ、じゃぁ……
「もしかして、先輩も僕と同じ夢を見てたんですか?」
「僕と同じ夢って……お前、王都グランディーナとか言うとこに行ったか?」
やっぱり、先輩もグランディーナにいたの?
「はい、車ごとおっこちちゃいましたよね」
「スライム食ったか? しかも俺の分まで」
「はい。でも、ちゃんとスライムプリンって言ってくださいよ。なんかそれじゃ僕がスライムのおどり食いをしたみたいじゃないですか」
「似たようなもんだ。じゃぁ、マシュー・カールは?」
「はいっ!エリーサちゃんですよね」
やっぱり、僕たちは同じ異世界にいたんだ!
「俺と同じ夢見てたってのか?」
首を傾げながら先輩がそう言う。
「そうです。二人で同じ夢をみてたんですよ!」
「信じらんねぇ。まぁ、そこまで一緒なんなら、同じ夢だったのかもな」
そして、先輩は半信半疑ながらそのことを認めた。
「そうですよ。僕が目を覚ましても先輩ずっと目を覚まさないし、もしかしたら同じ夢の中にいるのかもって、戦闘不能を治す呪文唱えたんですけど、それでも起きてこないし、途方に暮れてたんです。そしたら、谷山先輩が『王子ならお姫様のキスで目覚めるんじゃないか』って。いやぁ、ホントにお姫様のキスが効くとは思いませんでした」
でも、先輩の生還劇を喜々として話す僕に先輩は、
「余計なことしやがって」
と言った。
「は?」
「お前が余計なことしなきゃ、今頃はその夢の世界で、お姫様と甘い新婚生活の真っ最中だったんだ。何が悲しくてこの凶暴女のキスで戻らなきゃなんねぇんだ」
「何ですって!! 宮本君、あんたまだ魔法使える? お姫様として命じるわ、こいつを瞬殺して」
先輩の凶暴女の発言に谷山先輩は思わず暗殺(あ、大っぴらに殺すのは暗殺とは言わないのか)命令を僕に下した。
「しゅ、瞬殺って、物騒な。でも、谷山先輩すごく心配してたんですよ。それなのに、そんな言い方するなんて。海より深く反省してください」
と、言いながら僕は手を前に繰り出す。
「お、おい何の呪文をかけるつもりだ。宮本? まさか、あの『一億年』とか言わないでくれよ。ホント、ゴメンあやまるからさ」
その動作に、先輩は完全に怯えきっている。あれは夢の中のことで、僕が現実世界で魔法が使えるはずもないのに。でも、事故からの谷山先輩の気持ちを考えると、ちょっとお灸をすえないとねと僕も思ったし、かっこうだけしてみる。
 だけど、手を振り上げた途端、僕にまたあの上級魔法を使った後のような激しいめまいがして、僕は
「なーんちゃってね」
と言いながら意識を失ったのだった。
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