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道の先には……24

 僕は、闇の中でセルディオさんに会った。闇の中なのに、セルディオさんだけが、ぽかっと浮かび上がっていた。
 そして、確かによく似てはいたけれど、魔道士が着るようなローブを纏った彼は、僕より数段落ち着いて見えた。
「美久、巻き込んだ上に痛い思いまでさせてしまって、どうもすいませんでした」
僕は彼が日本語で語りかけてきたので、驚いた。ああ、でも、ここは天国なんだろうから(いや、真っ暗だし、もしかしたら地獄? 悪いことはしてないつもりなんだけど)そんなのもアリなのかなと思う。僕は、
「セルディオさん、あなた方の仇はとりましたよ」
と言った。そしたら、セルディオさんは、くっくっくと笑うと、
「仇ですか、じゃぁ、そう言うことにしておきましょうか。では、私はこの辺で」
と言ってボワーンと消えた。なんかどこまでも魔法使いっぽい人……
 そして、僕はその途端、闇の中からいきなり光の中に放り出された。あまりの眩しさに、一旦目を開けたもののまた閉じなきゃならないほど。そして、次の瞬間お腹に強烈な痛みが襲ってきた。テオブロに切られたところだ。生きている、僕まだ生きているんだ!!
 僕が再度目を開けると、そこは謁見の間ではなく、白い壁に囲まれた、小さな部屋だった。僕はベッドに寝かされていて、隣のベッドには先輩が。その手をフローリア姫が
心配気に握っている。テオブロはもう捕まったはずなのに、どうして先輩までベッドに寝かされているんだろう。
「せん……ぱい……せん」
僕が先輩を呼ぶと、フローリア姫は弾かれたように、僕の方を見て、
「宮本君、気が付いたの!!」
と日本語で言った。あ、じゃぁ、この人はフローリア姫じゃなくって、谷山先輩? そう思って、先輩の方をもう一度見ると、先輩には、あっちではお目にかかれそうもない管やら機械に囲まれている。ああ、ここは日本だ。僕たち、戻れたんだ。そう思ったら痛みは尚更現実化してきて、たまらずに、
「ううっ」
と僕は呻き声を漏らした。その声を聞いて、
「痛いの?」
と尋ねる谷山先輩への返事の代わりに、僕は切られた所を庇うように身をすくめた。その様子を見て彼女があわててナースコールを押す。
 程なく、病室に看護師がやってきて、僕の着ていた布団をひっぺがすと、
「大変だわ!」
と叫んでだだだっとまた慌ただしく病室を飛び出していった。それからしばらくして、その看護師は他の看護師やら医師やらを引き連れてどやどやと戻って来た。
「大変だ、しかし、何で今更縫合部分が外れたのか。とにかく、緊急手術の用意!!」
僕を看た医師が、首を傾げながらそう言う。縫合部分? 僕はこっちの世界でも怪我をしてたのか。痛みでぼんやりとしてきた頭でそう思った僕は、こっちの世界に戻ってきたばかりだというのに、またすぐ麻酔で眠らされてしまった。  
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