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道の先には……18

【あ、大丈夫です。僕、ちゃんと自分で歩けますから】
男が男にお姫様だっこされているというとんでもなく恥ずかしい状況に僕は真っ赤になって抗議したが、だっこしている方の騎士は顔色一つ変えず、粛々と歩みを進めていく。
【ねぇ、降ろしてって言ってるでしょ!】
そして、なおも抗議を続ける僕に、少し前を歩いていた先輩がいきなり僕の方に向き直ると、
【そんなに気を使うな、セルディオは私を守るためにちと力を使いすぎた。ここまで戻ってきたからにはもう案ずることはないではないか。陛下の御前までは楽をさせてもらえ】
と言った。げっ、いきなり王子なりきりですか、先輩。確かに、みんなのためにガソリン作って力使い果たしましたけどね。そんな迂闊な発言して、もし偽物だってバレたらどうするんですか! 僕の顔が恐怖でひきつる。それを見た先輩はつかつかと僕の耳元まで戻ってくると、みんなに分からないように日本語で、
「こらっ、王子のフリしろってったのはてめぇだろうが。とにかく今はなりきって、お前の体力が回復し次第何か理由付けてばっくれりゃ良いんだよ。今のお前の体力じゃ到底逃げきれないからな。がんばってそのなんたら卿になりきれ!」
と言ってから、
【本当に、私に忠誠を尽くすのは良いが、自分の身も労ってくれよ】
とわざと大きな声でそう付け加えた。
【では、このように帰還が遅れたのはやはり殿下に……】
クロヴィスさんがそれを聞いて慌てて先輩に尋ねる。
【ああ、命も危うかったが、セルディオの力で何とかな】
調子に乗って先輩は王子の演技を続ける。それにしても、セルディオさんのキャラも知らないのに、そんなテキトーなこと言って良いわけ? でも、その発言に、みんながおぉという感嘆の声が挙がり、クロヴィスさんがにこにこしながら、
【殿下の危急を救われたのですか。さすがは希代の魔術師と謳われたお方。私も見込んだ甲斐があったというもの】
と返した。良かった。そのセルディオさんって言う人もやっぱり魔法使いらしい。顔が似るとキャラもにるんだろうか。ホッとした途端、全身から汗が噴き出す。
【陛下との謁見が終わられたら、一旦城で休んで行かれると良ろしいでしょう】
あ、セルディオさんは一応お城の人じゃないんだ。
 先輩さえ何とかできれば、僕は体調さえ回復したらここを出られる。僕は少しは希望を持てる展開に胸をちょっとなで下ろして、ふとマシューの方を見た。マシューの方も僕を見ていたらしく目があったが、何とも複雑そうな顔をして目を逸らした。マシューは日本語が解らないから、先輩は本当は王子様で、騙されていたとでも思っているのだろうか。
 マシューに本当のことが説明できないまま、僕たちはグランディール城内へと入っていった。
 
 
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genre : 小説・文学

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