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道の先には……17

 やがて、僕らの前にグランディーナの城郭が見えてきた。お城だけではなく、町自体も堀で囲まれていて、その端には警備の兵が常駐している。マシューが言うようにのんきに車で乗り付けられる雰囲気ではない。よくよく考えてみれば、城下町にそう易々と入れるようではそれこそ問題なのだ。
 僕たちは街道筋の外れに車を置いて歩き始めた。車に乗っている間に僕はマシューから口にねじ込まれたガザの実を身震いしながら完食してはいたけど、たかだか2~3時間のインターバルでは失ったダメージは回復しておらず、足下はおぼつかない。本当なら肩をかしてもらう所だけど、マシューも先輩も背が高すぎてそういう訳にもいかず、僕は蝉みたいにマシューにしがみついて歩いた。何故マシューかと言えば、先輩にそんなことをしたら、絶対になぐられると思うから。
 だけど、町に入るための跳ね橋の手前の所で、僕らに突進してきた一団があった。ちゃんとこの世界のトレンドに着替えてあるんだけどな、それでも『不審者』がバレた?
 思わず三人で顔を見合わせる。そして、半ば引き気味の僕たちの前に息を切らせながらやってきた老人は、先輩の前で膝を折り、
【殿下、殿下、よくぞご無事で。フローリア姫様が到着されてもお帰りにならないので、心配しましたぞ】
と臣下の礼をとった。で、殿下!? 電化じゃなくって?
(もっとも英語じゃ全く違う単語なんだけど)
 老人はポカンとしている先輩にお構いなしに、今度は立ち上がって僕の手を取ると、
【セルディオ卿もお役目ご苦労様でございました。はて、そこの御仁は……】
握手を求めながらそう言う。えっ、僕も誰かと間違われてるの? その中でマシューだけがそっくりさん? がいないらしく、老人が胡乱な表情で彼を覗き込む。それに対して、マシューが 
【わ、私はガッシュタルトのマシュー・カールと言う者です。フローリア姫に火急の文を届けに参りました】
つっかえながら老人に挨拶をした。
【なんと、ガッシュタルトのお使者であられるか。私め、このグランディール王国の家令を仰せつかっておりますクロヴィスと申します。さぁ、殿下、陛下も心配されておられます。一刻も早くお城へ】
と、先輩を促す。
「お、おいここは付いて行くべきなのか?」
それで慌てた先輩がこそっと僕に耳打ちをする。
「とにかく、マシューが手紙を渡すまでは、このまま付いて行った方が良いんじゃないんですか? でないと、マシューまで疑われて、手紙届けられなくなりそうです」
「分かった」
僕の答えに先輩は頷いてから、クロヴィスさんに続いて、城下町に入って行く。僕もそれに続いて歩きだしたけれど、まだ体に力が入らなくてマシューに寄りかかってゆっくりしか歩くことができない。それをクロヴィスさんに見とがめられた。
【やっ、これはセルディオ卿、いかがなされました。】
【あの、えっと、これはガス欠……いえ、ちょっと……】
ガソリン作ったから電池切れですなんて言えないしなぁ。僕が答えられずにもじもじしていると、
【長旅で体調を崩されましたか。それは大変】
クロヴィスさんは勝手に体調不良と判断して(この人ホント自己完結型だよねぇ)、一緒にいる騎士らしき人に目で合図を送る。
すると、見るからに屈強な男の人が、
【失礼します】
と頭を下げると、いきなり僕をお姫様だっこして歩き始めた。


 
 
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