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道の先には……15

 車の前まで樽を運んでもらった僕は、その樽を凝視し、中身だけに集中する。
「よし、ロックオンっと」
「何をやるつもりだ」
「先輩、石油っていうのは、太古の生物が化石になって液状化したものですよね。僕、文系だから詳しくしらないですけど」
「は? 俺も文系だしよく分かんねぇけど、そうだったかな」
「じゃぁ、それ再現しちゃえば良いんですよ」
「再現って……」
どうやったら再現できるってんだ? と頭の中に疑問符を一杯蓄えているのが丸分かりの先輩と、日本語で会話しているので、意味が分からず(もっとも英語で説明したってこの世界のマシューには内容が理解できるとは思えないけど)僕の出方を見守っているマシューを後目に、僕はもう一度樽の方に向き直って、
<汝その営みを止め、石となれ。Stone!>
と、中身を石化させ、
<Press>
と圧縮させる魔法を発動させる。それから、
<時の流れよ、汝の中で光陰の如く駆け抜けよ。Still!>
と、樽の中身の時間だけを一気に進ませた。
「さてっと、一億年ぐらい進んだかな」
「一億年!!」
「先輩、中身が液状化してるか確かめてください」
僕は一億年という途方もない数字に驚いている先輩にそう指示した。先輩は、
「宮本の癖に、俺に命令なんかするな」
と言いつつ、素直に僕の指示に従う。樽の栓を抜くと、嗅いだことのある揮発性の香りがあたりに広がった。
「う、ウソだろ? ホントにガソリンが出来てんのかよ」
「じゃぁ、入れましょう」
僕はそう言うと、車のガソリンタンクの栓を開いて、高く手を挙げると、
<汝その重さを天使の羽の如くし、我の手の動きに従え。Move!>
と唱えると、樽は軽々と空中に浮き、自分からガソリンタンクにその中身を注ぎ入れた。こぼれてしまわない程度で僕は
手を下におろす。樽はゆっくりと元の位置に戻った。
「はぁ、終わった」
その途端、達成感と共に、急激な疲労が襲ってきて、僕はその場に膝をついて崩れた。
【ビ、ビク!】
そこでかかっていた魔法が解けたかのように、今まで固まっていたマシューがものすごい勢いで駆け寄ってきた。
【ねぇ、大丈夫? 頼むから無茶なんてしないで!】
と、涙目で叫ぶその声は、いつもの低い声ではなく、高く透き通ったかわいい声だ。
【マシュー、やっぱ、かわいい。でも、その顔で、オネエ、言葉は、ちょっと、キモチ悪い、かも】
それに対して僕は肩で息をしながらそう言ってグッジョブポーズで微笑んだ。目がかすんで体が傾ぐ。
 その時、いきなり僕の唇に何かが触れた。強引に口に押し込まれる。えっ、まさかマシューが? キス?? と思った瞬間、目も覚めるような酸っぱさが広がる。

 それは、
【誰がオネエだ。ごたごた言ってないで、コレを食え!! 死んじまうぞ】
と言いながら、真っ赤になって怒っているマシューが手にしているガザの実だった。
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だぁから、ファンタジーなんてやなんですよ。

鍵コメさん、
毎度ありがとうございます。

私の英語力のなさが暴露されまくってます。lとrは実際にヒヤリングで聞いている訳ではないので、なお分りません。

だけどね、カタカナで試しにストーンと書いてみたんですよ。そしたら、なんと間抜けなこと。

やっぱ、ファンタジーは性に合いません(読むのは好きだけどね)

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