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道の先には……14

 しっかり食べてぐっすり眠った僕は、翌日すっかり元気になった。魔力が完全に回復したかどうかは全然判んないけど、何だか今朝はどんどんと力が湧いてくる気がする。あのガザの実って、実は強壮剤? マシューがいきなりかわいい女の子に見えちゃったりするしね。
 朝食を食べ終えた僕は、先輩から“悲しいお知らせ”を聞く。どうやらあの通称ポンコツ(正式には社用車だけど)のガソリンがもう残り少ないと言う。
【たぶん、次の町までは保たないだろう。だから、ここに置いていく】
自家用車は、ガソリンなければただの鉄くず……よりまだ性質が悪い。中途半端なところでエンストしてしまえば道を塞ぐし、車を知らないこの世界の人の好奇の目にさらされる。悪くいけば山賊あたりにバラバラに解体されてしまうかもしれない。先輩の言うことはもっともだけど、気楽に着替えなんかの荷物は載せておけるし、何より僕らは営業と言ったって普段は電車や車を利用しての間つなぎの徒歩だ。そんなに長い距離を歩いている訳じゃない。あまり急な山道なんかはないみたいだけど、次の町まで歩き切れるのか?
【仕方ないかぁ……】
僕はそう相槌を打ちながら、ふと道端の屋台に目が行った。その屋台は、軽く干した魚をフリッターにして売っている。
「宮本、お前朝あんなに食ったのに、まだ食うつもりか?」
屋台の揚げ用の大鍋を凝視している僕に、先輩は呆れ顔でそう言ったけど、僕はそれに返事をせず、逆に店のおばさんに
【この揚げた後の油ってどうされるんですか?】
と聞いた。するとおばさんは、
【えっ、コレ? 捨てるだけだけど。カスは肥料にもなるけど、油は使いようがなくっていつも困るのよ】
頭を抱えるようなポーズをしてそう答えた。
【じゃぁ、僕がソレ、いただいていいですか?】
【持っていってくれれば、こっちも助かるよ。そこの樽がそうだから、好きなだけ持ってきな】
おばさんはそう言って、路地の隅に置いてある樽を指差した。
【じゃぁ、樽ごと頂いていきます】
【樽ごと!? いったい何に使うんだい。言っとくけど、もうそんなのじゃ何も食えるもんは揚げられないよ】
【別に食べませんから、大丈夫です】
驚いてそう言うおばさんに、僕は笑顔でそう答えると、
【さぁ、樽をひっくり返すのを手伝ってください。転がしていきますよ】
と、先輩とマシューに言った。先輩は慌てて
「お前、まさかこれをあのポンコツに入れるつもりじゃねぇだろうな」
と言った。
「ええ、そのまさかです」
僕は、先輩にそう言うと、先輩は憮然とした表情で
「確かにそういう車が一時話題にはなってたが、あれはソレ用に改造してるはずだ。お前、完全に壊す気か?」
と返す。それに対して僕はマシューに、
【マシュー、ここから王都グランディーナまではあと80kmくらいですよね】
と聞くと、マシューは
【ああ、あと町3つだからそれくらいだろうな】
と言った。
「何もそのままで入れるつもりはないですよ、先輩。まぁ見ててください」
僕はそう言って、首をかしげながら樽を押している二人の男の前を鼻歌交じりで先導していった。






 
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