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道の先には……13

  自分のそんな感情を振り払うかのように、僕はガザの実をがりっと大きな口で齧った。酸っぱい! それも梅干しなんて目じゃないくらい目から星が出てきそうなくらいの酸っぱさで、思わず口が歪んだまま固まる。
「ふ、ふっはい!」
真っ赤な色からは想像できなかったその味に驚いて、僕は思わず噛まずに飲み込んでしまった。
【あ、ごめん。不味かったか? 俺、味は知らなかったもんで】
その様子に、マシューが慌ててそう言う。そうだよな、見るからに体育会系の(その割には非力らしいけど)マシューが魔法系の回復アイテムを食べることなんてないんだろう。よく、こんな実の事を知っていたなと思った。まぁ、こっちの方では食べなくても基本のアイテムなのかもしれないけどね。
【ううん、ちょっと(実はかなりなんだけど)酸っぱかっただけ。心配しなくて、えっ?……!!】
それに対して心配しないでと言おうとした僕は驚いた。目の前にいたマシューがいきなりかわいい女の子になっていたのだ。歳はたぶん、10歳前後。同じ茶髪で碧眼なんだけど、髪は長くて緩やかにウエーブがかかっている。
【ど、どうした? そんなに穴のあくぐらい見つめられると、いくら俺でも照れるぞ】
だけど、そう見えたのは一瞬で、そう言った彼は相変わらずいかついおっさんだった。
【ぼ、僕疲れてるのかな。一瞬マシューが女の子に見えた……】
【は? どこをどう見たらこいつが女の子にみえるって!? おっさん丸出しだろうが】
それに対して、先輩は息も絶え絶えに笑っている。マシューも
【昨日の仕返しか、俺のどこが女だ。しかも女の子?】
と、怒ってはいるが、どことなく焦っているような気もする。
「使ったことのない魔法を使って、頭いかれたんじゃねぇか? もうこのまま飯食わないで寝ろ」
「えーっ、ご飯は食べますよ。僕MP切れで倒れたんですよ。食べなきゃ回復しませんよ」
先輩のご飯抜き発言に、僕は猛抗議した。でも、日本語のわからないマシューは心配そうに僕たちを見つめる。それに気づいた先輩は、
【心配すんな、大丈夫だよ。この食い気バカが簡単にくたばるか。飯抜いて寝ろってったら、怒ってんだよ】
と説明している。その説明も説明だけど、それに対して大きく頷いて納得するマシューもマシューだ。

 うー、僕病人なのに……みんな大っキライだ!!




 
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