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道の先には…… 9

 先輩が戻って来て、僕たちはリルムの町の旅館の男が泊まっている部屋に行った。そこは回復系の木の実やら、石化防止のペンダントやらがいっぱい。僕が興奮しっぱなしで、一つ一つ眺めているのを先輩は些か冷めた眼で、マシューは幾分呆れた顔で見ていた。だって、これってリアルRPGのオンパレードじゃない! これが興奮せずにいられますかって!!
 僕はその中に古ぼけた本が一冊あるのを見つけた。何が書いてあるのか見ようと開いた僕に男は言った。
【止めときな、そいつは持ち主を選ぶんだ。大抵の奴は読めもしねぇよ】
先輩にはへつらっているクセに、随分と僕にはタメ口なんじゃない? なんて思いつつ、
【へぇ、そうなの】
と返しながら、僕はパラパラとページをめくって、
「火に関する呪文かぁ……fire ball<火の玉>って、笑えるぅ」
と声を出しながらその本を読む。それを聞いて男はおろか先輩やマシューまでもがギョッとして僕を見た。そして僕はその本の冒頭部分にあった『注意書き』を参考に『こめかみに意識を集中』して、もう一度、
<火の玉>「fire ball!」
と詠唱した。胸の前に広げた手にぽあっと赤い玉が生まれる。だけど、起こったことにビックリして気がそげちゃったのか、それはすぐに消えちゃったけど。
「うわっ、これってますますリアルRPG!」
と一人はしゃぐ僕に、後の3人の大の男は完全にフリーズしてしまっていた。

【お前、魔女なのか……】
しばらくしてから、やっと気を取り直して男がそう言った。僕は『魔女』というワードにちょっと『またか』と思いつつも、
【そうみたいですねぇ、僕、超ド級の初心者ですけど】
と男に返した。

 で、目立たないようにこっち仕様の服とか、ちょっとした武器などをチ○ッカマン計10本で購入。その中にはちゃんとさっきの『魔道書』(チ○ッカマン3本相当)も含まれている。
 僕はホクホクでその本を読みながら宿屋を出た。先輩はマシューに先に小声で耳打ちしてから僕に、
「こら、読みながら歩くな。転ぶぞ。それにな……」
とそこからぐっと声のトーンを落として、
「町のはずれまで来たら、一気に車まで走るぞ。その本を俺に渡すか、小脇に抱えてろ」
と言った。別に声のボリュームを下げなくたって日本語なんだから、ここの人は誰も解りゃしません、とか思いながら僕は小脇に本を抱えた。
 そして、町外れに来た僕たちは、一瞬3人で顔を見合わせると、車に向かって一気に駆けだした。
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