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道の先には……5

 車の中には晴れやかに笑う先輩と、恐怖でゆがんだ顔の男。
 やがて僕らの行く先に、見慣れないヨーロッパ風の田舎町が見えてきた。
【リルムの町だ!】
それを見て男はひきつったまんまでちょっと綻んだ。逆にそれを聞いた先輩の方が苦虫を噛みつぶした顔になって、車を停めた。
「やっぱり、さっきの光で僕たちの方がとばされたみたいですね。異世界トリップってやつですかね」
思案顔で僕がそう言うと、先輩は僕の頭を叩いて、
「何、冷静に分析してやんだ。ったく、やっぱりお前と一緒にいると禄なことがない」
とハンドルに突っ伏した。
「だぁからぁ、先輩が運転してたんだし、僕の所為じゃないですって!」
「うるさい、黙れ!! なら俺の所為だとでも言いたいか」
「別にそんなこと、言ってないでしょ!」
 だけど、僕たちがいつものように言い合いを始めた時、はじめは呆気にとられていた男がクスクスと笑い出した。
【おい、何笑ってんだ。それと、お前名前は?】
【マシュー、マシュー・カールっす】
すると先輩はむっとした顔のまま男に聞いた。
「先輩もこの人の言葉判るんですか?」
「お前がさっきこいつのしゃべってるのは英語だって言ったろ。お前にできることが、俺にできない訳あるか!」
僕が驚いて聞き返すと、先輩はそう言った。でも、よくよく考えてみると、名前聞いただけなんだよね。それだったら誰でもできる……なんてことは口が裂けてもいえないけど。
【で、勇者様方のお名前は】
【俺? 俺は鮎川幸太郎。あ、コータロー・アユカワ、わかるか?】
「OーOh,コータル、コータル」
「コータロー」
「コータロ」
「ま、これが限界か。OK」
マシューは頷くと今度は僕を指さしたので、
【僕は宮本美久。ヨシヒサ・ミヤモト】
「ヨッシャ?」
「ヨシヒサ!!」
「ヨッシャ?」
「よっしゃ、よっしゃそれでいい」
ヨッシャと言ったマシューに、先輩はうなづきながらOKを出す。
「勝手に決めないでください。よっしゃよっしゃって、何十年か前の政治家じゃあるまいし、良い訳ないでしょ!」
名前を聞かれてるのは僕なんですから。
「お前も古いな。じゃぁ、音読みでビクとでも呼ばせるか」
「音読み? ヨシでもヒサでもあるでしょ?」
まぁ、ヨッシャよりはまし……そう言いかけた僕に、マシューはビクというワードに反応し、
「Oh,ヴィク! ヴィクトリア!! OK、OK」
と満面の笑みで理解? を示した。
 だけど、ヴィクトリアって……
【ダメです、やっぱりダメ!! ヴィクトリアって言ったら女性の名前じゃないですか。ダメ、Not Victria! I’m not female!!】
「Not female!?」
慌てて訂正した僕に、マシューは目をまん丸にしてそう聞き返した。
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