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道の先には…… 2

 僕たちはしばらくそのまま気を失っていたらしい、次に気がついた時、森の中にいた。落ちる前も山道を走っていたのはそうなんだけど、木の種類が全く違っていた。落ちる前に走っていた周りの木はいかにも日本らしい杉木立だったけれども、今目の前にあるのは広葉樹。しかも、青々としている。それに、心なしか気温も高い気がする。
 それに、落ちてきたはずの切り立った崖とか斜面なんてものはなくて、緩やかな丘みたいなものが遙か向こうまで広がっている。アスファルトで舗装された道は石畳になっているし、なにより確かにかなりな高さを降りたはずなのに、僕たちはもちろん、会社の車(先輩に言わせれば廃車寸前のポンコツ)にもぜんぜん傷なんか一つも付いていなかった。
「おい、宮本、乗れっ」
それを確認した先輩は、そう言って車に戻る。慌てて僕も車に乗るとエンジンをかけ発進させた。
「ちゃんと走るみたいですね」
「ああ、ポンコツの割には上等じゃねぇか」
先輩はそう言ってさらに車を走らせた。
 しばらく行くと道ばたに大きなリンゴの木が見えてきた。真っ赤な実が所狭しとひしめき合っている。
「そう言えばお腹空きましたね。あのリンゴ食べましょうよ」
「宮本、お前の頭には食うことと寝ることしかないのか?」
「そんなこと言ったって、お腹空いたんですから。それに、こんな道ばたにぽつりと植わってるんだから絶対に野生ですよ。採ったって誰にも怒られないと思います」
呆れる先輩に僕は胸を張ってそう答えた。どう言ったって先輩は僕をバカにするだろうし、それなら開き直って空腹を満たす方が建設的だと思わない? 
「じゃぁ、お前勝手に行って採って来い! 俺は知らん」
先輩はそう言うと、僕をリンゴの木の端まで戻って降ろしてくれた。
 僕は僕の背でも届くところになっている実を三つ四つ採り、その内の一つにかぶりついた。
「うー、おいひい」
間違いなく完全無農薬のそれは、僕が今まで食べたリンゴの中で一番美味しかった。
 しかし次の瞬間、僕は
「ぎゃっ!!」
という、悲鳴を上げた。
「宮本、どうした? やっぱり毒リンゴだったのか、それ」
その悲鳴を聞きつけて先輩は後から考えるとあんまりな台詞を吐きながらそれでも降りてきてくれた。
「違いますよ、ほ、ほらアレ……うわぁ!!」
そのとき、震える僕に向かって、そのゲル状の物体が突進してきたのだった。
 
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