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バニシング・ポイント 36

 前夜式が始まった。とはいえ、故人の天上での幸福を祈るという、縮小版の葬送式という感は否めない。
 前夜式というのは、元々通夜という習慣がある日本でそれに合わせて作り出された日本固有のものらしい。それでも、忙しい現代人には曜日に関係なく日中に行われる葬送式よりも参加しやすいから、衛の職場の関係者は、代表者以外ほとんどが前夜式の方に参列するだろう。
 司会者が開式の挨拶をした後、賛美歌が歌われる。祈祷会の参加者ではなくても、年配の会員の中には衛を直接知っているものもいる。だが、未信者が多い中で声が小さくなってしまわないように、声を張って歌うその表情はどことなく複雑だ。博美と完全によりを戻さない内に命を取ってしまわれた神の真意を量りかねているとでもいうのだろか。
 曲が終わり、皆が着席した後、中野が突然の衛の死に思いを馳せ、このことの神様の深い計画とそのことに対しての家族の平安を祈り、メッセージを伝える。
 メッセージ後、一人が一輪ずつの花を故人に手向けて、もう一度賛美をした後、前夜式は閉会した。

「皆様長時間ありがとうございました、こちらに茶菓をご用意いたしましたので、お時間のご都合のよろしい方はお残りくだり、わずかな時間ですが、故人を偲んでいただければ幸いです」
終了のアナウンスが流れ、バラバラと散会し始める。
 そのとき一人の人影がつかつかと博美に近づいてきた。その人物は、
「人殺し、先輩はあんたに殺されたのよ!」
と叫ぶと、いきなり彼女の頬を打ったのだった。

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