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バニシング・ポイント 25

「お、今日は珍しいな、母さんまで一緒か」
そう言って近づいてきた男は、よく見ると衛に似ているといえばそんな気もする。だが、年を重ねた事以上に違っているのは、博美が記憶している彼よりも横幅が2倍近くもあることだった。
「そうだよ、お母さんからも少し言ってよ。もう、一緒に歩けないよ」
「父さん、そんな妙なカッコウしてるか?」
「そうじゃなくて、そのお腹! 何とかしてよ!!」
「何とかしてよって言われてもなぁ、こればっかりは今すぐどうとかできるもんじゃないぞ」
そんな親子のやりとりを目を瞑って聞いていると、幾分くぐもってはいるものの、やはり衛の声に間違いない。どうしてこんなことになってしまったのだろうか。そんなことを考えながら目を閉じたまま怪訝な顔をしていた博美に、「どうした、博美。気分でも悪いか?」
と、衛と思しき人物の心配げな声が聞こえる。
「ううん、別に」
「そうか、それなら良いけど。で、どこに行く?」
「うーん、やっぱ名駅。こっちよりアクセとかやっぱかわいいんだもん」
「博美は、それで良いのか?」
「お母さんはあたしの付き添いだよ。いいじゃん、あたしの行きたいところで」
「でも、折角久しぶりに会ったんだから、母さんの意見も聞いてだな」
「衛、良い訳ないじゃない!」
他愛のない親子の会話をしていた衛と明日美は、何の脈略もなくいきなり声を荒げた博美に、一旦互いの顔を見合わせ、それからきょとんとした面持ちで自身の元妻や母を見る。
「ねぇ、あの人は一体どうしてるの!」
「あの人って誰だ?」
「あの人はあの人よ!!」
博美の言うあの人とはもちろん冴子のことだ。しかし、衛はそれを意に介さないばかりか、
「おまえ本当に大丈夫か、震えてるぞ」
という始末だ。これが怒りに震えずにいられるだろうか。
「体調が悪いんだったら、もう今日は帰るか」
「えーっ、帰っちゃうの?バッグ買ってほしかったんだけどな」
博美の体調を心配する衛に、明日美は口をとがらせてそう返した。一緒に歩きたくないと言う割にはちゃっかりとおねだりしているところが今時の高校生というところだろうか。すると博美は何やら決心したように、
「帰る、ううん行くわ」
と言って頷いた。
「帰る? 行く? どっちなんだ、それ」
「だから、今から衛の家に行く」
博美の発言に首を傾げた衛に、彼女は思い詰めたようにそう答えた。
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