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バニシング・ポイント 20

「それ、どういうことですか!?」
「それは、自分が一番お解りなんじゃないんですか。今のままじゃ、同居人と変わらないって」
「何でそれを……」
「彼の腕の中で聞いたと言ったら?」
震えながら聞いた博美に冴子は笑みを浮かべているのが判る口調でそう返した。
「衛の腕の中で?」
「そうよ。私があなたにヤキモチをやいたら『焼くな、博美とは子供が生まれてから一回もやってない』ってはっきり言ったわ。でも、妊娠中だってご無沙汰だったんでしょ? 健全な男がそれで保つと思ってるの?」
その後も冴子は少し話を続けたが、博美はもう何も耳には入ってこなかった。『健全な男がそれで保つと思ってるの?』という言葉が耳に纏わりついて離れなかったのだ。


―*―*―*―*

 その日、衛は帰宅したとき、自宅に灯りが点っていないことに気付いた。実家にでも行ったんだろうか……そう思っていると、近くに住む糟屋という年輩の女性が声をかけてきた。
「明日美ちゃん調子悪いの?」
「朝は元気だったんですけどね」
糟屋の質問に衛は首を傾げて答えた。
「夕方ものすごく泣いてたからもんだから。でも、子供なんてそんなもんよ。朝元気でも急にぐずりだしたと思ったら熱だって事多いから」
「そうですか。ありがとうございます」
そうか、明日美の調子が悪いのなら病院にでも連れて行ったのかもしれないな。そう思いながら玄関の鍵を開け、家の中に入って、部屋の電気を点けて一瞬にして血の気が引いた。

衛が見たもの―それは、明日美が部屋の隅でうつ伏せになっており、少し離れたところで、博美が真っ暗な中呆然と座り込んでいるというものだった。

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genre : 小説・文学

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