スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

愛しているからこそ-バニシング・ポイント18

 愛しているからこそ

子供は博美自身が体調に気を配ったこともあったが、さしたることもなく出産を迎えた。
 ただ、全く順調な訳でもなかった。博美の血圧は陣痛を迎えてからいきなりあがり始め、出産直前には167になった。そして、帝王切開も視野に入れようとした矢先、ほどなく博美は女の子ー明日美を産んだ。
「とにかく無事に生まれて良かった。けれど、出産直前の血圧の急激な上昇。これは、明らかに妊娠中毒症の兆候だよ。妊娠中毒症は、第一子より第二子、第三子と、出産を経るほど重くなる傾向があるから、いいね」
鹿島は、博美にそう言って今一度念を押した。

 そして、明日美が生まれて一年近くの日が経とうとしていた。博美は出産後から未だ衛の夜の誘いを断り続けている。
 衛には明日美に手がかかるからそんな気にはなれないと言っているが、彼女の本心は別のところにあった。
 博美は出産後、重度の妊娠中毒症のもたらす弊害を調べた。出産した直後、けろっとしてしまう場合も多いが、中には重篤な症状に陥って、植物状態や死に至るケースもある。
 特に、最初に妊娠中毒症に罹った場合、その子供を出産後間を置かないで次の子を妊娠すると、重症化する場合が多いという。
 もちろん、出産直前の血圧上昇は衛も知っていて、既に鹿島は衛にも釘を刺していたから、夫は避妊具を用意して待っていることも知っている。鹿島に頼めば経口避妊薬も処方してくれるだろう。
 だが、そうして万全を期して夫婦生活が、『快楽だけの性』のような気がして受け入れられないのだ。『夫婦のコミュニケーション』として重要なのかもしれないが、肉の欲に駆られているような気がする。『生めよ増えよ地に満ちよ』の聖書の言葉に逆らっているように思える。最後までいかず外に出してしまったために、神様の罰を受ける者がいた架所を思い出す。
 そして、そのことを薄々感づいているのかもしれない衛が自分に対して、
「いいよ、別にエッチがしたくて博美と結婚した訳じゃねぇから」
とささやく言葉も、博美の心をチクチクと刺し続けたのだった。


スポンサーサイト

theme : オリジナル小説
genre : 小説・文学

comment

Secret

プロフィール

こうやまたすく

Author:こうやまたすく
FC2ブログへようこそ!

最新記事

最新コメント

最新トラックバック

月別アーカイブ

FC2カウンター

カテゴリ

Web page translation

検索フォーム

RSSリンクの表示

リンク

ブロとも申請フォーム

QRコード

QRコード
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。