スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

バニシング・ポイント 13

「へぇ、やっと折れたんや」
 月曜日――信輔は衛からかかってきた電話を受けて口角をあげた。よかった、やはり悪い知らせではなかったのだと順子は側で見ていてホッと胸をなで下ろしたのだが、その信輔の眉間に徐々にしわが寄り始めた。
「そら、博美ちゃんは寺内君のお家のこともようわかってるんやろうから」
えっ、ヒロ……
「中野先生は喜ぶと思うよ。せやから、気ぃつこてんのちゃうかなぁ。衛君長男やしな。とにかく、受けんでもカウンセリングだけでも大丈夫やから……うん、僕で良かったらまた相談に乗るし。うん、そんなら一番いい解決法が示されるように僕もお祈りしとくわ」
そう言って信輔は電話を切った。

「寺内君受洗したいって」
電話を切った後、信輔は彼の顔を食い入るようにのぞき込んでいる妻にそう言った。
「衛君、決心したの!?」
衛が洗礼を受けると聞いて順子は色めきたった。
「けど、博美ちゃんがそれを反対してるらしい」
「ヒロが? どうして」
「たぶんやけど、博美ちゃんは寺内君が自分と結婚するためにそうせんなあかんと思てんねんやと思てるんちゃうかな」
「結婚するためにって」
「博美ちゃん、寺内君のプロポーズ受けたらしいよ」
「ホント!」
「で、教会で結婚式しようと思たら、受洗してんなあかんのちゃうのって」
 確かに順子たちの母教会では、信者同士の結婚が基本で、片方が会員ではない場合、教会堂の使用を認めない。
 しかし、牧師はそうして頑なに敷居を上げて未信者との結婚を否定しているわけではない。逆にそれは大いなる伝道の機会であるのも理解している。だからそれはあくまでも基本で、未信者のパートナーは、求道者として教理を理解する為の通称『結婚カウンセリング』を数回受けて信者に準ずるものとして結婚式に臨む。そんなことは親の代からの信者である博美には充分わかっているはずのことだ。
「私から一度博美になんで反対してるのか聞いてみようか?」
順子の提案に信輔は頷くと、、
「まだ、お義父さんたちには言うてないかもしれんから、それとなくな」
と返した。


スポンサーサイト

theme : オリジナル小説
genre : 小説・文学

comment

Secret

プロフィール

こうやまたすく

Author:こうやまたすく
FC2ブログへようこそ!

最新記事

最新コメント

最新トラックバック

月別アーカイブ

FC2カウンター

カテゴリ

Web page translation

検索フォーム

RSSリンクの表示

リンク

ブロとも申請フォーム

QRコード

QRコード
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。