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再会-切り取られた青空-いと-16

再会


私は今回車で彼女の元に行った。新幹線からの乗り継ぎのこともあるけれど、移動できる二人だけの空間-そう思ったからだ。

しかし、待ち合わせ場所で彼女を乗せて走り出したものの、別段目的地がある訳ではない。気の向くまま走って、人通りの全くない川べりに車を止めた。そして、シートを倒して彼女に腕を絡めてキスをした。

それは、半ば冗談のつもりだった。彼女がびっくりして大笑いしてそれでおしまい。そんなシナリオを私は頭に描いていた。

しかし、彼女はびっくりはしたけれど、大笑いも拒否もしなかった。私たちはそのまま溶け合った。私は彼女と本当に1つになれたような気がした。

だが、ことの後、彼女は浮かない顔をしていた。
「やっぱり、こんなとこでなんて思ってる?」
「ううん、なんだか瞳のこと思い出しちゃったから…出かけるとき些細なことでぐずるもんだから、『もうママいなくなっちゃうよ』ってつい言っちゃって。あの子自分が置いてかれることに過剰反応するから…」
そう答えるかりんは母親の顔になっていた。
「じゃぁさ、子供たちも一緒に連れて出てきてくれる?僕は君がいてくれれば一向構わない。この歳だし、いきなり二人の父親って言うのも悪くないかな。」
意を決して切り出した私の提案に、彼女の答えはなかった。

しばらくの沈黙の後、話題を変えて話し始めたとき-彼女の携帯が鳴った。瞳ちゃんの学校からで、熱があるから迎えに来てほしいという連絡だった。
「ごめんなさい、折角わざわざ来てくれたのに、私帰らないと…」
「病気だもの、仕方ないさ。送るよ。」
「じゃぁ、一駅手前で降ろして。そこから電車で帰るから。」
「わかった。」

別れ際、私は車を降りる彼女に、
「子供たちと一緒に来る件、考えていてくれないか。」
と言った。彼女は何も言わず複雑な表情をして頷いて駅に向かった。

彼女が去った後、私の中で言いようのない不安が広がった。



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