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Love Grace15

 それから3日間、夜になると39度を超える熱が続き、4日目にやっと熱が37度台にさがったので、点滴から解放された。
「明日熱が出なければ、退院してもいいよ」
と言われたけど、大量の抗生物質を投与してるから抵抗力がないので、2週間は他の感染症をもらわないように外出しないようにとも言われた。
 それで結婚退職のための引き継ぎもあらかた終わっていた事もあって、あたしはそのまま仕事を辞めることになった。
 それで二週間後、私物をもらって挨拶をするだけ……お母さんのほうも夏休みということでコメンテーターの仕事も、連載も休んで、まるで降って湧いたようにお母さんとの水入らずの時間ができたのだった。

 久しぶりに見た書いてないお母さん。でもそれは何だかおかあさんじゃないみたいで、あたたしはつい、
「お母さん、あたしに気にしないでどんどん書いていいからね」
って言っていた。そしたら、お母さん、
「メグちゃん、ゴメンネ」
ってあたしに謝った。
「ゴメンって何がさ」
「マナちゃんのこと。お母さんね、メグちゃんが大きくなってお母さんの手を離れていくのがさびしかったの。それでね、マナちゃんならずっと小さなままでいてくれると思ったから、メグちゃんの写真を鏡に映して話しかけてた……それがメグちゃんの気持ちの負担になって、本当にマナちゃんを作り出すだなんて思わなかったし」
愛実を作り出す? お母さんは自分がしたことで、私が愛実という別の人格を作り出したと思ったらしい。ま、心理学的にはむしろその方があり得る話で、お母さんが、あの時
『それで出てきちゃった訳ね』
と言ったのも、それなら納得がいく。
「お母さん、愛実はホントにいるよ、ほら」
あたしは玄関の下駄箱についている全身を映せる鏡に自分の姿を映した。でも、その姿は愛実ではなくただの鏡に映ったあたしだった。
愛実はもう消えてしまったんだろうか。最後にお母さんに抱かれてしあわせなまま……

鏡の中でくしゃっと涙でゆがんだあたしの顔は、ゆがんだままで、笑ってはくれなかった。


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genre : 小説・文学

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