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愛実-Love Grace7 

愛実 

お母さんに結婚の話をしたその週末、あたしは隆一を呼んでお父さんに結婚の承諾を取り付けてもらうことになった。
「ねぇ隆一、お父さんには絶対『恵実さんをください』って言っちゃダメだからね。他は判んないけど、とりあえずそれだけはNGワード」
その日、迎えに行った隆一に私はそう言った。
「どうして? なんかそれって、結婚の承諾の定番じゃん」
「『犬猫じゃないんだから、そう言う奴には絶対にやらん』って言ってたことあるんだよね」
「花嫁の父の心理ってやつかね。じゃぁ、どう言ゃいいのさ」
あたしがそう言うと、隆一が吹き出しながら返した。
「うーん……お嬢さんと結婚させてくださいかなぁ」
「了解、俺土日にはなかなか出て来れないから、ゴネられても何度も足向けできないしな」
そう言って我が家の前立った隆一の唇は緊張で小刻みに震えていた。

 あたしたちが緊張した割にはお父さんは物分かりがよく、特にゴネることもなくお父さんはあたしたちの結婚を承諾した。ま、あのぶっとびお母さんの旦那さんなんだから。

 それから隆一の方にもご挨拶に行き、あたしたちは正式に婚約した。驚くことに隆一のお母さんは『春香彼方先生』のファンで、『あの春香先生と親戚付き合いできるなんて!』って、喜んでいた。

 あたしが結婚を決めてから、お母さんの連載の本数がさらに増えた。これで厄介払いが出来たから、これからは愛実と楽しくやっていけると思っているのかな、あたしはそんなことを思ってさびしくなった。

 そんなある日、あたしは夜洗面所の鏡を覗いて息が止まりそうになるほど驚いた。

……そこには確かにあたしが映っていたんだけど……その表情は連日退職のために残業していたあたしの疲れたものではなく、どことなく幼さも漂う、しかも怒った顔をしていたからだった。

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genre : 小説・文学

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