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ボクのプレシャスブルー11

「純輝、こんなじゃじゃ馬だが、楓を頼むよ。で、今度はどんなことがあっても全うしてくれよ。『その健やかなる時も、また病める時も』だ。俺の場合、(さくらには)健やかなる時なんて味あわせてやれなかったが」
「何言ってんの。私は最初からこの芳治さんしか知らないの。だから、今が当たり前なのよ。昔の営業でバリバリ走り回っていた芳治さんに戻るって言われたら、その方が変。」
すると、さくらがいきなりそんなことを言いだした。
「何か、お父さんがまっすぐ歩いているのなんて想像できないし」
その上、さくらに続いて楓までそんな風に言うので、私は少々複雑な気分になった。
「そうだな、よしりんはやっぱ杖突いてないとダメだって気がするよな」
しまいには純輝までそれに同調する始末だ。

だが、これが、この姿が既に私なのかもしれない。私は私の中で何か霞がかかったものが晴れた様な気がした。

 あの事故がなければ……私は翔子と穂波と(あるいは穂波の弟妹と)平穏な暮らしをしていたかもしれない。たぶん、私は普通に幸せであったろう。
 だが私は事故に遭った。一旦世界の全てを失ったように思った私には今、さくらがいて楓がいて治人がいる。そして、純輝をはじめとする笹本家の面々も。彼らには事故がなければ会う事ができなかった。翔子と穂波を失ったあの事故に遭ったことを良かったとは思えないが、悪かったとも思えない。
 
そんな思いを巡らせていた私に、純輝は一言、
「やっぱり、あなたにさくらを任せて良かった。あなただったから、さくらはずっと笑っていられたし、帰ってきたオレに、楓まで。やっぱり、あなたはオレにとってもヒーロー、プレシャスブルーですよ。それに応えるためにも、オレはこれから全身全霊楓を守りますから。見守っていてください、お義父さん」
女たちに聞こえないように私の耳元で囁いた。

そう、今度は君がヒーローになる番だ、純輝。はらはらさせないで、カッコよく楓やもし授かるならその子供たちを守り抜いてくれよ。私はそう思いながら黙って頷いた。

                -Fin-

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