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ボクのプレシャスブルー7

「それでさ、そのプレシャスブルーってのは一体何なんだ?」
 二人が離れたのを見計らって、私は純輝にそう尋ねた。すると、純輝はもちろんのこと、楓や伏見までもが吹き出したのだ。どうやらその存在を知らないのは私とさくらだけらしい。
「よしりん、まさか何にも知らないで、『俺はプレシャスブルーだ』とか言ってた訳?」
「治人が言うのに頷いてただけだ、俺は」
腹を抱えて笑う純輝を睨みながら私はそう言った。
「時空戦隊プレシャスファイブ。確か今やっているSINOBI戦隊忍レンジャーの二つ前のやつですよね」
戦隊? ああ、あの色とりどりの全身タイツで飛び跳ねる子供番組か。
「伏見さんはよくご存じなんですね」
「ええ、悠馬と一緒に毎週欠かさず……ってか、俺の方が率先して見てますよ。あれってね、大人が見てもって言うか、大人が見てこそ面白いんです。子供に十年、二十年前のパロなんて解かりませんからね。大人が見るのを想定してそういうのを組み込んであるんですよ。言わばスタッフのアソビです。俺、そういうの見つけるとワクワクするんですよ」
「わぉ、悠馬君のお父さん、同志! あれはやっぱ大人が見るもんですよね」
とそれに純輝が食いつく。
「大人ってなぁ、君はまだ中学生だろうが」
「だけど、小学生のガキんちょじゃもうねぇから」
私の言葉に、純輝は剥れる。だが、私から言わせれば、こいつはまだまだひよっこのガキだ。そのまま純輝は喜々として伏見と戦隊モノの魅力について大いに話に花を咲かせ始めている。そんな話を聞いていると、私もそのプレシャスブルーと言う奴を見てみたくなった。伏見が、
「そう言えば松野さんってどことなくプレシャスブルーに似てますよ。顔もそうだし、泰然自若とした雰囲気とか……」
などと言うものだから余計に。するとそれを察したのか、
「あ、家にプレシャスファイブのDVDあるよ。純兄が録画してくれた」
と楓が言う。
「どうせ、自分が見たいから録画したんだろ、純輝。自分の家で見ろ、家で」
「あの面子がオレに見たいモノ見せてくれると思う?」
私の言葉に純輝は首をすくめてそう答えた。
「ま、それはそうだがな」
純輝は五人兄弟の二番目。確かに、あの家で好きなDVDを見るのは至難の技だろうな。
「あれっ、純輝君って治人君のお兄ちゃんじゃないんですか?」
 その時、会話を聞いていた伏見が不思議そうに尋ねた。
「あ、オレはここんちの子供じゃないですよ。オレはさくらちゃんの前の旦那です」
それに対して純輝は笑いながらそう答える。
「お前まだ、それを言うか?!」
「言うくらいタダじゃんかよ」
私たちにはいつもの会話だが、尋ねた当の伏見にはますます謎が深まってしまったのだろう。口を開けたままの顔に、戸惑いと聞いてしまった後悔が見える。
「あのね、この子は私が主人と結婚する前に付き合ってた人の妹の息子なんです」
それで慌ててさくらが事情を説明するが、さくらも自分は解かっているために幾分説明不足だ。
「オレはそのおっ死んだ彼女の恋人の生まれ変わり……なんて言ったら、伏見さん信じます?」
「……」
純輝は伏見の顔を覗き込んで尋ねたが、伏見はどう返答して良いのか解からずにこたえあぐねている。
「冗談ですよ。オレ、その伯父さんにすごく似てるらしいんです。だから時々ネタにするだけですよ」
純輝はその様子を見て、笑顔でそう付け加えた。

本当はネタだなどとは思ってないクセに……私は純輝の横顔を見ながらそう思った。




遅ればせながら、第一話に表紙画像UPしました。

どうしても既成のテンプレにしたくなかったので、頑張って手書きです。
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