スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

昼食-ボクのプレシャスブルー6

 運動会は午前の部を終え、私たちは昼食を取る場所を探した。
「ああ松野さん、良かったら一緒にどうですか」
声をかけてくれたのは、先ほどのロン毛の同走者だ。引っ張っていた少年と二人でコンビニらしきお弁当を持って陣取っている。
「治人、一緒に食べよ」
治人がその少年の言葉に、私の顔を覗き込む。
「ご一緒させていただけますか」
その言葉に、息子と少年との顔がぱっと華いだ。
「どうぞ。私は悠馬の父親の伏見と言います」
若そうだが、やはり父親だったか。私自身が二度目で、息子の父親としては歳を取り過ぎているのも事実だが。兄とまでは言わずとも、小学生の子を持つほどの年齢にはとても見えない。
 早速純輝が隣にシートを敷き、持ってきた弁当を取り出す。
「どうぞ、たくさんありますから、ぜひつまんでください」
「うわっ、すげぇ」
「えへへ、お父さんが作ったんだよ。」
取り出した弁当に色めいた悠馬に、治人は自慢げにそう言った。
「へぇ、松野さんが作られたんですか」
それを見て伏見が目を瞠った。
「私はこんな身体ですからね、嫁を働かせて主夫をやってるんです」
そう言った私に、
「芳治さんだってちゃんと仕事してるじゃない、『髪結いの亭主』みたいな他人聞きの悪いこと言わないでよ。それに今は仕事だってしてないし」
と、さくらは口をとがらせた。
「お母さんはね、今大学生なんだよ。赤ちゃんが生まれるお仕事をするために、学校に行ってるんだ」
そんなさくらに治人は胸を張って補足する。
「赤ちゃんが生まれるお仕事?! ボクんちもね、ちょっと前にね、妹が生まれたんだよ! 千春って言うんだ。めちゃくちゃかわいいんだよ」
悠馬も負けじと生まれたばかりの妹の自慢を始める。
「それはおめでとうございます」
「あ、いえ、ありがとうございます。」
私のお祝いの言葉に、伏見は頭を掻きながら答えて、
「明後日帰ってくるんだよね、パパ」
と言う悠馬の言葉に優しく頷いた。

 治人と悠馬はさっさと食べ終わると、
「遊んで来て良い?」
と二人で走って行った。その時、
「治人のパパって、カッコいいな」
「そうだろ? だからボクのお父さんはプレシャスブルーだって言ったじゃん」
という会話が風に乗って私の耳に届いた。




スポンサーサイト

theme : オリジナル小説
genre : 小説・文学

comment

Secret

プロフィール

こうやまたすく

Author:こうやまたすく
FC2ブログへようこそ!

最新記事

最新コメント

最新トラックバック

月別アーカイブ

FC2カウンター

カテゴリ

Web page translation

検索フォーム

RSSリンクの表示

リンク

ブロとも申請フォーム

QRコード

QRコード
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。