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ボクのプレシャスブルー2

「おい治、それはねぇんじゃね?」
「だって……」
純輝が慌ててフォローに入るが、治人はまだ何か言いたげだ。そうだよな、子供たちにとって私は自慢できる父親ではない。

 私は、十八年前の交通事故で九死に一生を得た。その時私は、首から下は折れていない所はないんじゃないかと言うくらい骨折していた。特にひどかったのは右足。粉砕骨折で、自身の骨だけでは再生することができず、チタンを入れてある。そのために、私の右足はほとんど曲げることができない。
 実のところこれまでの運動会の際には、長時間立っていることも応援席に直に座ることもできない私は、車椅子を持ち込んで対処している。
 一見、ディレクターズチェアやパイプ椅子など、簡易的な椅子でも良さそうなものだが、そういう不安定なものでは座ったが最後、誰かの介助なしには立つことができないのだ。ということは、座ったが最後全く動けなくなるということだ。
 その際、大人は気遣って目線を外してくれるが、子供たちは容赦なく奇異なものを見る目で見つめる。そんな不甲斐ない父を子供たちは恥ずかしいと感じても仕方がない。
「純輝…すまん、やっぱり君が一緒に走ってやってくれ。俺じゃ、確実にビリだからな」
「よしりん……」
「治人、純兄と一緒に一等賞取れよ」
私が治人の頭を撫でながらそう言うと、治人は悲しそうな顔で、黙ってこくりと頷いた。

「ちょっ治、ちょっとこっち来い」
すると純輝がそう言って治人を表に連れだした。一人になった私は夕食の準備を始めた。
 さくらは大学生の今、看護師の頃のように夜出かけることはまずないが、授業に実習にと帰ってくる時間は遅い。必然的に家にいる私が家事をすることになった。そんな「主夫」の生活も、子供たちにはどう映っているのだろう。そう考えながら剥いた玉ねぎは、いつもより目にしみた。
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theme : オリジナル小説
genre : 小説・文学

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