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祈り-赤い涙(改稿バージョン)15

 祈り


 学校から昂が何者かに呼び出されて姿を消したとの連絡を受けた昂の両親は、血眼になって息子を探した。
 だが、ようやく母親が彼を通学路近くの小高い丘の上で発見したのはもう夜も更けた頃で、長時間京介の深層心理まで読み続けた事の疲労と、雨に当たり続けたのがたたって、元々軽い風邪を引いていた昂は既に虫の息だった。
 慌てて現在地を夫に知らせた彼女は、これ以上雨が息子の体力を奪ってしまわないようにすっぽりと身体を包んで抱きしめた。

 その息子の口からは荒い息とともに、
「ゴメンな……ゴメンな……」
としきりに誰かへの謝罪の言葉が発せられる。
(違う)
「ちゃう、ホンマに謝るんはお母さんの方や、あんたが謝らんでええ」
彼女はそう叫んで、尚更きつく息子を抱きしめた。この時、昂は樹に謝罪していたのだが、樹の存在を知らない彼女は、それが息子が自分が生まれてきたことに対しての彼女への謝罪だと受け取ったのだ。
そう……昂に読心能力があると知った時、化け物呼ばわりして遠ざけたのはこの自分だ。
(罰が当たったんやきっと……)
裁かれなければならないのは自分の方なのに……彼女はそう思って涙にくれた。

「おそらく今夜が峠でしょう。合わせたい方がいらっしゃったら、すぐ連絡してください。」
そして、辿りついた病院でそう言われた時、彼女はついに半狂乱になった。
「お願いです。昂を、息子を助けてください! 今あの子が死んでしもたら……ねぇ、助かると言うてください!! お願いやから……」
「どうしたんや、ちょっと落ち付けや!!」
彼女がそう叫んで医師にしがみつこうとしたのを、慌てて夫が止めに入る。
「お気持ちはお察しします。そやから、我々もできるだけの事はしてるんです。けど、後は昂君の生命力にかけるしかない状態なんです。解かって、頂けますか。」
そんな医師の事実上の「最後通告」に彼女は顔を覆って号泣することしかできなかった。
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genre : 小説・文学

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