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赤い涙(改稿バージョン)13

「まぁいい、新しく組み直せば良いだけの事だ。」
「新しく組み直す……?」
再び顔を上げて言った京介の一言に昂は自分の耳を疑った。
「そうだ、劣化した部品をその都度交換してきたんだ。そっくり全部挿げ換えたって変わりない。
今回と同じように感情のプログラミングを施して、バックアップデータを入力して……文字通り再生させるんだよ。上手くすれば君との記憶もあるだろう。ははは、それにしてもとんだ怪我の功名ってやつだな、完璧なアンドロイドを生み出す私の夢にまた一歩近づける。君は…今まで通り樹と付き合ってやってくれるだろう?」
驚いて聞き返した昂に、京介はうすら笑いさえ浮かべてそう言った。
「いいえ、お断りします」
だが、昂はそんな京介をまっすぐに見据えてはっきりと断りの言葉を述べた。
「どうしてだ」
京介はよもや断られるとは思ってなかったようである。訝るように聞き返した。
「新しく作られたんはもう、俺の知ってる樹ちゃんちゃうからです」
「は?」
「俺の好きやった樹ちゃんは、さっき死にました。俺はその目で確認したんです」
「バカバカしい! 死んだだって?! 君も見ただろう、樹は入れられたデータの範囲内で処理していくだけの機械だ。人間のふりをしているだけで心などない。それが証拠に君が最初に家に入った日、樹に『寝ていてくれた方が安心する』と言ったろう。樹はそれを聞いて寝たきりになったんだ。命令を忠実に遂行しただけの事、君が命令しなければそうはならなかった」
 その時、それまで霞がかかっていた京介の深層心理にすこし綻びができた。
(そうだ、どこまでいったって樹はジュジュにはならん。それを私が一番よく知っている)
「ジュジュ……さん?」
「―!―」
心を読まれていることを改めて思い出した京介がものすごい形相で昂を睨んだ。代わりに綻んだ所から彼の閉ざされた内側の心があふれ出す。
(ジュジュ、私のたった一人の妹……あれを再生できるなら、私はどんなことでもする)
昂に京介から妹ジュジュに対する切ないまでの想いが流れ込んできた。
 京介……クロード・京介・F・笹川は、日本人の父とフランス人の母との間に生まれた。しかし、二人の間には愛はなく、優秀な遺伝子をかけ合わせるという、如何にも研究者らしい理由で、結合せず人口母体で生まれてきた。
 素晴らしい知能を持って生まれた京介に気を良くして両親は、3年後同じようにして樹……ジュジュ・樹・C・笹川を設ける。
 だが、生まれてきたジュジュには心臓に欠陥があった。
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