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冷たい雨-赤い涙(改稿バージョン)10

 冷たい雨


木枯らしが町に吹くようになった頃、昂は風邪を引いた。症状は軽かったが、樹にもし移しでもしたら、彼女の命を縮めてしまうことになりかねない。そう思った昂は、完全に治るまで彼女に会うのは遠慮することにし、その旨を京介に伝えた。
「ああ、樹にそう伝えておくよ」
京介は、玄関先でそう返した。

 だが、それから三日後の事だった。
そろそろ三時間目が始まろうという時、昂は校内放送で呼び出された。
「理数科の根元昂君、今すぐ事務室まで来てください」

-*-

「根元です、何でしょうか」
「笹川さんって人知ってる? 君を呼び出してほしいって。樹の事で話があるって言うたら解か……きゃぁ!」
(京介さんが樹ちゃんの事で電話してくる……それってまさか!)昂は樹の事と言われた瞬間、事務員から受話器をひったくっていた。
「もしもし、昂です。樹ちゃんがどうしたんですか」
「根元君、樹が……どこにも居ないんだ。もし、あの体で雨に当たるようなことがあったら……助けてくれ。何か君に心当たりはないだろうか」
京介はおろおろと樹の失踪を告げた。昂は咄嗟に窓の外を見る。既に小雨が降り始めていた。
「待っててください。今行きますから!」
昂は受話器を放り投げるように事務員に戻すと、外に駆け出した。
「根元君、今の電話誰? どこから? どこ行くの!」
昂は事務員の矢継ぎ早の質問にも答えないまま駐輪場に走り、自転車に跨ると、一目散に笹川家に向かって漕ぎ始めた。
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genre : 小説・文学

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