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交響楽(シンフォニー)7

生まれ変わり…普通ならそんな発想はしないと思う。しかし、自分が亡くなる直前、同時に昏睡状態に陥ったさくらの許にやって来たくらいに(信じられないことだが、私はその時彼と顔を合わせている)彼女を想っていた彼なら、そんなこともあるかも知れないと思ってしまう。

やがて私たちに娘楓(かえで)が生まれてからは、小学生になっていた純輝は何かと理由を付けてかなりの距離を自転車で走って我が家を訪れ、産休のさくらと話し、娘の面倒を見た。
その頃、大洋・翔真と弟2人がいた純輝は、右足が曲がらないし、杖がなければ満足に歩けない私に『どうだ』とでも言いたげにニヤッと笑うと、さっと泣いている楓を抱きかかえさくらの許に連れて行った。

その様子を見て私は、そうは言っても楓は俺の娘だ。俺がいなきゃ生まれちゃいないんだぞと、30歳も年下の小学生になりたての彼にムキになって闘争心を燃やしていたりした。そんな私たちの様子を横で見ていたさくらは、
「純輝は弟しかいないから、妹が欲しいのよ。それだけだわ。」
と言って笑った。

やがて、久美子に第5子の女の子、華野(はなの)が生まれた。確かに純輝は「笹本家のアイドルはーちゃん」をかわいがってはいたが、我が家の日参を止めたわけではなかった。むしろ、動けない私ではちょろちょろ動く楓の世話は役不足だと言わんばかりに、産休期間が終わって仕事を再開したさくらのいなくなった我が家に顔を出した。

おかげですっかり、楓はお兄ちゃん子になっていった。

華野が生まれてすぐ後、さくらが妊娠していることが分った。
悔しいかな大家族で手慣れた純輝のサポートは、本当にありがたい物ではあったのだ。
「助かるよ。」
と口では言いつつ、私は心の中では唇を噛みしめていた。

やがて二人目の子、治人(はると)が産まれその産休が終わる頃、さくらはある決心を固めて長年勤めた病院を辞めるつもりだと私に告げた。
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