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交響楽(シンフォニー)4

子どもは初羽(ういは)と名づけられ、坪内家の空気を一気に明るくした。
そして、その存在は、智也の両親の心すら動かした。

「親父、久美子んちに時々行ってるってホントか。」
「ええ、本当に初羽ちゃんってかわいいわねぇ。いくら見ても飽きないわ。」
憮然とした表情で言う智也に、父親ではなく母親が答えた。智也はそれを聞いて激怒した。彼は、
「マジかよ、久美子にあんなこと言ったくせに、今更どの面提げて顔出せるんだよ。信じらんねぇ!俺の娘に触んな。」
と、両親に向かって、文句を吐きだした。そう言われた当の母親は、申し訳なさそうな顔で伏せ目がちに、
「ホントに悪かったと思ってるわよ。」
と返した。
「謝りゃ済むって問題じゃないだろっ!」
「だけどね、男の子のあんたたちと違って、初羽ちゃんって泣き方までかわいいんだもの。久美子さんも『どんどん見に来てください』って言ってくれてるし。」
そしてそう言うと、母親はトロトロのババ馬鹿の顔になった。その顔を見て、智也は小さくため息をついた。まさに、『案ずるより産むが易し』とはこの事かと思ったのだ。

「でな、久美子さんの体もそろそろ落ち着くころだし、結婚式をやるのはどうかなと思って…坪内さんにそう、話してみてくれないか。」
「は?!」
続いて父親の口から出てきた言葉に、智也はあからさまに不快だという態度で聞き返した。
「自分たちが放棄させたんだぞ、久美子の事!虫が良いにも程があるとは思わないのかよ。俺さ、この際だから大学卒業して、仕事決めてそれから久美子迎えに行くから。」
「智也…」
孫を見てころっと『宗旨替え』してしまった両親に、智也はつっけんどんにそう答えると、自室に入って言った。
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