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埋火4

「彼優しくてね、私の小さな変化にもいちいち反応してくれるの。だから、休みの日にまで仕事だって言って出て行く修司と気持ちが逆転してしまうのも早かった。私は痩せたい以上に前を走っていく彼と一緒に歩いていく感覚が楽しくてダイエットに励んだわ。私たちは競うように痩せて、一足先に彼がゴールを迎えた。」
今や、加奈子さんと二人寄り添って商売している修司さんが仕事に没頭して家庭を蔑ろにしていたなんて、私にはにわかには信じられなかったけど、ことお好み焼きに関する真剣さは知ってるから、前の職場でも一生懸命だったのは解かる気がする。
「ゴールを記念して、彼がオフ会を企画したの。多分、彼も怖かったんだと思う。ネットなんて落ちてしまえばそれまでだから。そこでリアルとして出会った私たちは、深い関係になった。彼、子どもたちを連れて岐阜に来いとまで言ってくれたのよ。でも、行けなかったの。」
「どうして…」
「私が修司と別れることはできても、子どもたちからパパを取り上げることができなかったの。特に瞳は…あの子、子どもの頃手を振るだけで泣きだすくらい、家族と離れることを怖がる子だったの。別のパパができたから良いじゃない、そんなことは言えないでしょ。
ちょうどその時だったの、修司が今のお店を始めようと言いだしたの。全然私のことなんか見てなかったと思った修司が、ちゃんと私のことを見ていてくれていた事も嬉しかったし、もう何もかも全部忘れて新しい土地で、新しい気持ちで始めようと思った。」
そこまで語り終えた加奈子さんはそこで小さくため息をついた。
「でもね、そう考えたのは私だけじゃなかったの。修司が脱サラを決めた理由…長年務めた会社の業績が以前ほど上がらなくなったのももちろんだけど、彼にもリセットしなきゃならない女がいたのよ。」

ええーつ!…ってことは、修司さんも不倫してたってこと?!私は危うく大きな声を出して、子どもたちを起こしてしまいそうになるのをやっとのことで抑えた。
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theme : オリジナル小説
genre : 小説・文学

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