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埋火3

「ふふふ、びっくりした?」
「何だ冗談なんですか。」
ぎょっとしてしまった私の顔を見て茶目っ気っぽく笑った加奈子さんに、私はホッとしてそう言った。
「いいえ、本気。彼ら夫婦は私のダイエットの時の同志なの。ブログを通じて岐阜と茨城の距離を乗り越えて結ばれたのよ。」
きっとそういう結びつきにご夫婦対で憧れてるのかな。私は勝手にそう取って、
「そう言うのって素敵ですね。」
と言った。でも加奈子さんはそれに対して不敵な笑みを浮かべると、
「彼ね、彼女と結婚する前は私と付き合っていたのよ。」
と言った。
「は?昔からこの…エイプリルさんですか?とお知り合いだったんですか。」
だから、私がそう尋ねると彼女は頭を振って、
「いいえ、私はその頃横浜だったし、私も彼とはダイエットブログで知り合ったの。」
と言った。確か、加奈子さんって陸君と瞳ちゃんの産後太りがダイエットのきっかけだったわよね。じゃぁ、それって…
「ええ、その時には陸も瞳もいたわ。私、寂しかったの。」
彼女はそう言って、ひと夏の恋の話を私に始めた。

「私ね、前に話したことあったかしら、MAX103kgあったのよ。」
はじめて会った日、修司さんは加奈子さんのことを『とんでもないデブだったんだぜ。』と言ったが、三桁を超える数字で聞くとその凄まじさが余計伝わってくる。逆に、現に太っている人たちは何kgなのかを知らないから、加奈子さんがその時どんな感じなのかわからなくて、いきなりお相撲さんを想像して私は首を振った。そりゃ、いくらなんでも行き過ぎだ。
「修司は仕事人間だったし、丁度仲の良い女友達たちも同じように、結婚・出産ラッシュでね…今から考えると、私はたぶん食べることにしか楽しみを見出せなかったんだと思うの。でも、そのわずかな楽しみが、私の中の感覚を狂わせていったの。1回だけ見ると少しだけのオーバーなんだけど、まさに『塵も積もれば山』なんだと思う。だから、簡単には痩せる方法が見出せなかった。」
そう、人間は誰だって自分を基準にしてしかモノを見ることができない。世の多くの女性たちが『普通に食べているだけなのに…』と嘆きながらダイエットをと呟くのは、そうしたところなのだろう。普通が普通ではないのだと気づければ、多くの人が痩せられるのかもしれない。
「だけどね、私はたまたま料理のレシピを見るのに入り込んだブログでそれに気付かせてもらえたのよ。人ってね、なんと1日190kCalオーバーし続けるだけで、年に10kgも太れるのよ。190kCalって言えば、今川焼が一つ食べられるかどうかってとこなのよ。たったそれだけ。」
今川焼一個増やすだけで年間10kg増か…『その一口がデブの素』とはよく言ったものだわ。
「で、ダイエットブログを始めて知り合ったのがその…エイプリルさん、綿貫亮平という男なの。」
加奈子さんの口からいきなり出てきた相手の本名に、私はごくりと唾を飲み込んだ。
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theme : オリジナル小説
genre : 小説・文学

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