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HANABI16

やがて、しばらくして来たメグの顔は、ひきつってうっすら涙まで流していた。
「何でもないって、何でもなくないじゃん!圭治トラックと接触したっていうじゃない。」
「お前、それ誰に聞いたよ!」
「竹林堂のおじさん…轢かれそうになった女の子を助けた高校生がいるってお客さんと話していたから。でもよく聞いたらそれ圭治だって言うし…」
くそっ、あのオヤジ、暇だからって道行く人みんなに吹いてるんじゃないだろうな。
「ぶつかってなんかねぇよ、第一ぶつかってたら、こんなとこにいられる訳ゃねぇだろ。」
「だって、電話すぐ切っちゃって、マナーモードで…病院に行ったんでしょ。」
確かにそれは間違いではない。間違いじゃないけど、違うんだ。
「とにかく上がれよ、一之助の事もあるから…俺の部屋でちゃんと説明すっから。」
「あ、そうだ本山さん!いないってことは、お姫様見つかったの?」
「ああ、もう!それもこれも全部話すから、上がれってんだ!!」
お姫ちゃんがか見つかったと思って気色ばむメグの瞳が辛くて、俺は思わず声を荒げた。その様子にメグははっと息を飲んだ後、
「何よ、いきなり怒りだすなんて…」
とぶつぶつ小さな声で文句を言いながら、俺の部屋に入った。

俺の部屋に入った後、俺はメグを勉強机の椅子に座らせ、俺はベッドに座った。そして、徐に、
「覚悟して聞いてくれ、今朝トラックに当たったのは俺じゃなくて一之助だ。」
と言った。
「ウソ!それで今本山さんは…病院にいるの?」
「いや、それだったら俺だって、お前をすぐに病院に呼ぶさ。消えたんだ。」
「消えたって…」
メグは口に手を当てて震えている。俺は立って、そんなメグの肩に手を置いた。メグは顔を上げて俺をじっと見た。
「どっかーんと上がった打ち上げ花火みたいにさ。おまけに一之助がぶつかった跡がどこにもないしさ。周りにいたみんなも俺一人が助けたってことになってさ、俺はトラックのとこまで行ってないってのに、念のためにって検査されるしさ。」
俺はためいきをついて、それからクローゼットを勢い開いた。
「ここにさ、一之助の荷物ぶっこんでたんだぜ。なのにさ、帰って見てみりゃもぬけの空だよ。まるで昨日からのことは夢みたいに前のままだ…」
俺は拳を握りしめ、必死で涙を堪えていた。
「あ、プリクラ!」
メグはその話を茫然と聞いていたけど、そう言うと、突然跳ねるように自分のバッグを漁って自分の手帳を取り出した。そして、必死に一之助と3人で撮ったプリクラが貼ってあるページを探す。
「な、何で…何でなのよぉ…」
メグはやっと見つけたそのプリクラを見て、ぼろぼろと涙を流してそう言った。
‐そこには後ろでしたり顔をして写っていた一之助の姿はなく、ピッタリと頬を寄せ合って照れまくる俺とメグとのツーショットが‐
「そうか…こんなとこまで消えなくて良いのにな…あいつ、ホントにバカ野郎だな…」
俺もそこでついに堪え切れなくなって、泣いてしまった。
「ねぇ圭治、じゃぁ、本山さんは何でココに来なきゃならなかったの!こんなの悲しすぎるよ。」
メグはプリクラを握りしめたまま震えていた。そんなメグの頭を撫でながら俺は言った。
「…それだけどな、一之助はたぶん、お前に会いたかったんだと思う。」
「私に?!」
メグは驚いて顔を上げた。
「たぶんだけどな…一之助はもう元の世界でも死んでんだよ。お姫ちゃんを守りきれないことが未練で未練で、お姫ちゃんと同じ名前のお前とその子を助けに来たんだと思う。助けた女の子の名前、亜実ちゃんって言うらしいんだ。亜細亜の亜に木の実の実で亜実。」
「だけど、私の名前は、あみじゃないわ!」
「漢字だ。今、パソで変換して気付いた。お前の名前って、あみとも読むんだよ。だから、同じ名前の亜実ちゃんと同じ漢字のメグを両方助けようとしたんだ。」


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