スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

姫様を頼む-HANABI15

姫様を頼む


だけど、何で俺のとこなんだろう。それならあの女の子、あみちゃんにもっと近い所に現れればあいつ、あんなに苦労しなくて良かったはずだ。リビングのパソコンの前に陣取った俺は、そんなことをつらつら考えていた。不意に携帯のバイブに気付く。そうだ、救急車に乗せられる時、仕方なしにマナーモードにしてたんだっけ。見るとそこには伊倉愛海の文字があった。でも、俺は電話には出なかった。バイブが止まった後、履歴を見る。メグは何度もかけてくれてた。けど…今ホントにどう言ったらいいのか解らなかった。

俺はぼんやりと、そばにあったパソコンを開いた。
俺はため息をつきながら‐いちのすけさんはあみちゃんととおいところへいってしまいましたとさ‐と呟きながらキーボードを叩いた。
「いちのすけ(変換)一之助は…あみちゃん(変換)愛海ちゃんと…愛海ちゃん?!そうだ、これだ!!」
俺はあみちゃんと打ち込んだ後変換キーを押した時、その八番目の変換候補に目を瞠った。そこにはメグの名前めぐみと同じ漢字が躍っていた。試しにめぐみと入れたら愛という字一字でしか出てこなかった。たぶん、いや…間違いなくあみ姫様のあみは愛海だ!だから、一之助はメグの幼馴染の俺の処にやって来たんだ。
俺は慌てて、マナーモードを外すとメグに電話を入れた。
「もしもし?」
「圭治、今何時だと思ってんの?本山さんが先に出て行ったって言ったっきり電話もかかってこないし、おまけにすぐにマナーモードになってるんだもん。心配したんだから!!」
電話がつながって、俺がそう言うか言わないかに、メグからの罵声が飛ぶ。
「ゴ、ゴメン。今からいいかな。」
「良いに決まってんじゃん。そのために待ってたんだから。何処で待ち合わせる?」
まだ何も知らないメグの返事は底抜けに明るい。
「お前んちに行くから…なぁ母さん、俺今からメグんち行って来る。」
俺が電話しながら自転車の鍵を引き出しから取り出そうとすると、
「圭治、今日はダメよ。何があるか判らないから、安静にしてなさいって言われたでしょ。」
と母さんからダメ出しが入った。
「大丈夫だよ、どこも打ってない。」
ああっ、もどかしい。どこもホントに打ってないだってば!!
「ダメよ!こう言うのは後から出て来ることが多いんだから。」
それでも母さんは折れてくれない。逆にそれを聞いていたメグが、
「どこも打ってないって、圭治、何かあったの?」
と聞いてきた。
「いや、何でもねぇよ。」
メグにだけは正直に全部話そうと思っていた。でも、それは電話じゃいけない。
「ねぇ、どうしても今日じゃなきゃダメなの?そしたら、メグちゃんここに来てもらえばいいじゃない。」
すると、母さんがそう言った。でも、そうすると母さんに話したことの辻褄が合わなくなる。俺は、露骨に嫌な顔をしてたのかもしれない。
「何なの、その顔は。ま、デートをすっぽかしたのに来させるのは気が引けるんだろうけどね、しょうがないじゃない。」
母さんに首をすくめてそう言われてしまった。
「そんなんじゃねぇよ!」
「ま、何でも良いわよ。後で言い訳できないような事してくれなきゃ何したってね。」
「だから、そんなんじゃねぇってば!!」
ああ、何か完全に誤解されてるよ…
でも、まぁそれでも良いかもしれない。俺は内心、一之助の『姫様を頼む』と言われたことを、実行してもいいかなと思い始めていた。メグがそれを受け入れてくれればだけどな。
スポンサーサイト

theme : オリジナル小説
genre : 小説・文学

comment

Secret

プロフィール

こうやまたすく

Author:こうやまたすく
FC2ブログへようこそ!

最新記事

最新コメント

最新トラックバック

月別アーカイブ

FC2カウンター

カテゴリ

Web page translation

検索フォーム

RSSリンクの表示

リンク

ブロとも申請フォーム

QRコード

QRコード
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。