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HANABI10

それでも気を取り直して、俺たちはあみ姫ちゃん(3~4歳って聞くと、なんか姫様って感じがしなくって)の特徴を聞いた。
「じゃぁ、身分を隠すためにあの頃の普通の子供みたいに、おかっぱ頭で丈の短い着物を着てるのね。」
「そうじゃ。赤い格子柄の着物を召されておる。」
メグの質問に一之助は頷いてそう答えた。
「今時そんな着物着てる子なんていないし、そんな小さい子がそんな恰好してたら目立つわよ。もう保護されてるかも。」
保護、警察か!それ考えてなかった。そうだよな、そんな変わった恰好のチビがひとりで歩いてたら保護されないはずはない。
「交番に行ってみるか。」
「うん、行こう!」
それで、俺たちは近くの交番に向かった。交番には若い警官が暇そうに座っていた。
「あのぉ、丈の短い赤い着物をきた3~4歳の女の子の迷子の届出ってないですか。」
別に悪いことしてる訳じゃないんだけど、俺は恐る恐るそう聞いた。
「迷子?君の妹かな。本署に問い合わせてみるから、その子の住所と名前は?」
俺がそう聞くと、警官は筆記用具を持ってそう尋ねた。ヤバっ、住所!!もちろん戦国時代にも住所くらいあるんだろうけど、その住所が今の何処なのかもかも解んないし、戦国時代そのままの地名なんて交番で使える訳ないじゃん。
「あ、いたいた…あみちゃんこっちよ!」
その時、メグがそう言って走り出した。慌てて、俺と一之助が後に続く。だけど、少し離れた角を曲がって、メグの足がピタッと止まった。
「姫様、姫様はどこじゃ!」
「ゴメン、ウソ。」
姫様を探してきょろきょろする一之助にメグは頭を下げた。
「謀ったのか?!何故じゃ、あの御仁に探すのを手伝ってもらうのではないのか!!」
でも、それがウソだと言われて一之助は激怒した。
「ゴメン、あの場合、ああ言うしかなかったの。普通迷子だったら警察に探してもらうのが一番いいんだけど、それには何処に住んでいるのかわからないとダメなのよ。あの頃の住所と今の住所は全然変わってるし、戦国時代から来たって正直に話しても解ってもらえないのよ。」
「その方たちは信じてくれたではないか!」
「普通は信じてもらえない。警察では却って怪しまれるよ。マズったよ、なんで住所にもっと早く気付かなかったかな。」
「地味に聞き込みするしかないわね。」
一之助は、イライラと足を踏みならしていた。俺たちはそれに何の言葉もかけてやることが出来ずに、しばらく誰も口を開かなかった。

しばらくして、のろのろと動きだした俺たちは、地味に聞き込みをしてはみたけど、やっぱりそれらしい女の子はいなくて、やがて長い夏の日もとっぷり暮れてしまって、田舎の住宅街には人っ子一人出ていない状態になった。
「今日はここまでかな。」
「そうね、誰も出ていないんじゃ、聞きようもないわ。」
俺の言葉に、物言いたげな一之助の顔を見ながらメグが念押しする。
「一之助、帰るぞ。」
「帰るとは、何処へじゃ。」
「決まってんじゃん、俺んちだよ。今日は何とか理由こじつけてウチで寝られるようにしてやっからさ。」
「かたじけない。」
一之助は口では礼を言っていたが、その本心はまだまだ姫様を探したいというのがありありとわかった。だからと言って、むやみに不眠不休で探したって見つかるってもんじゃない。そんな目立つ格好で歩いていたら、地元のケーブルテレビで迷子放送をしてくれるかもしれないし。そんな事をいちいちと一之助に解かる様に説明するには俺は疲れ過ぎていた。
俺はメグと赤外線でメアドを交換すると、メグに手を振ってすたすたと自宅に向かって歩き始めた。
「伊倉殿、今日はいろいろと世話になった。礼を申す。では、御免。」
一之助はそう言って俺の後に続いた。

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