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HANABI7

クーラーが聞いたスーパーを出ると、一気に暑さが押し寄せて来た。
「あっちー!とは言うもんの、どこから探したらいいんだ?」
「とりあえず、圭治の家に戻ってみる?」
「うーん、それしかないかな。」
それで、俺たちはバス停に向かって歩き出した。行きにも通った道なので、一之助が先頭を切って歩いていた。その一之助の足が止まった。
「見事な花じゃ、まるで花嫁の様じゃ。」
よく見ると、道の奥の家の庭に白い花をいっぱいに咲かせている木があった。
「ああ、槿の木ね。槿っていう由来も白無垢着ている花嫁さんって意味だもんね。」
するとメグがそう言った。こいつなんでそんな事知ってるんだろう。そう思いながら俺は先を行こうとしたんだが、一之助の足が動かない。名残惜しそうにずっとその木を見ている。
「どうした?行くぞ。」
「お、おう…」
俺が急かすと、一之助はやっと歩き出した。
「ねぇ、あの木になんか思い出でもあるの?」
「いや、初めて見た。だが、ちと思い出したことがあってな…拙者、秋には祝言を上げる予定じゃった。嫁になるはずじゃった女の事をな…」
そう言った一之助の目は遠かった。
「へぇ、結婚すんのか、おめでと。」
俺は考えもなしにお祝いの言葉を吐いた。そしたら、メグに思いっきり腕をつねられた。
「痛ってぇなぁ。」
「バカね、お姫様を逃がさなきゃならない状況なのよ、考えなさいよ!」
あ、それってお姫様を逃がすのが精一杯だったってことだよな。じゃぁ、奥さんになるはずだった人ってもう…
「ゴメン。」
「気を遣わんでくれ。時は戦乱の世、何が起こっても致し方ござらん。」
俺が謝ったら、一之助は無表情でそう言っただけだった。

ズーンと重い気持ちになって、俺たちがまた歩き始めた時、今度はいきなりメグが言った。
「そうだ!プリクラ撮ろう!」
「プリクラ?何で。」
「こんなことなんかもう、2度とないじゃん。だから、記念撮影よ!」
ま、戦国時代の奴とのスリーショットなんて、絶対あり得ねぇけど。今、一之助の格好ってもろ現代人だぜ?!後で誰かに見せたって、信じてもらえないもん撮ってどうすんだ。そう思ってメグを見た。こころなしかメグの目が少し潤んでる。そうか、メグなりに盛り上げようってんだろうな。
「ま、2度とないってか、2度とゴメンだな。」
「そうと決まれば早速戻ろう、スーパー!」
「な、何じゃ戻るのか?忘れ物でもしたのか?」
メグは全く理解していない一之助の背中を押して、今来た道を戻り始めた。
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