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再び桜花笑う季10

「ホントに済まない。」
車椅子に座ったまま私はもう一度三輪さくらに頭を下げた。
「いいえ、私も言いすぎました。」
彼女も私に頭を下げ、そう言った。
「じゃぁ、帰ります。あ、弁当!」
その時私は、膝の上に弁当を置いていたことを思い出した。見ると件の弁当は道の端に無残にもさかさまになって転がっていた。私はその弁当を取ろうと車椅子を漕ごうとしたのだが…
「痛っ!」
夢中で気付かなかったが、私は車椅子から落下したとき、手をどこかについていたのだろう。左手に力を入れると、少しだが痛みが走った。
「大丈夫ですか?何なら戻って検査を…」
「大丈夫、少し痛むだけだから。」
「本当に?」
「ええ、こんなのあの事故に比べたら、大したことないから。気にしないで。」
確かに、力を入れるまで気づかないくらいの痛みだったから、大したことはないだろう。私はそう思った。
「松野さん、今日は運転されてるんですか。」
すると彼女はこう尋ねた。
「いいえ、ここには乗ってこないですよ。ものすごい早い予約でないと、障害者スペースは空いてないですからね。ここに来るのはいつもタクシーです。」
「じゃぁ、ここで待っててください。私の車を回します。」
「そんな、いいですよ。」
「だって、タクシーで帰るにしても、降りた後があるでしょ?私のせいでけがさせちゃったし、送らせてください。」
彼女はそう言うと、私の返事も聞かずにパタパタと自分の車を取りに走って行った。彼女を無視してタクシーの方に行くこともできたが、私はそのままそこで彼女を待った。
戻ってきた彼女の車の後部座席は、既に倒されてフラットになっていた。彼女は手早く私を助手席に乗せると、車椅子を積み込んで走り出した。
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genre : 小説・文学

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