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親近感-再び桜花笑う季5

親近感


私は、三輪さくらのその後の様子が気になり、その次のリハビリの帰りに私もかつてお世話になっていた、彼女の職場である病棟を訪ねた。
「お久しぶりです。」
私は彼女の同僚の曽我部由美に声をかけた。私服を着て出て来たので、勤務明けだろうと思ったからだ。
「松野さん、こんにちは。リハビリ頑張ってる?」
「ええ、まぁ…」
私はそう言うと、車椅子に乗ったままの自分の姿をざっと眺めた。
「ま、根気よく頑張って。で、今日は何?」
「三輪さん元気になったかなと思って…前回の通院の時、ちらっとストレッチャーに乗ってるとこ見てしまったもんですから。」
私がそう言うと、それまでにこにこしていた由美の顔が曇った。実際、私は彼女がICUに運ばれたことも、かなり危ない状態であったことも知っていたのだが、通りすがりに垣間見た体を装った。
「え、ええ…」
「そうですか、それは良かった。彼女、私の退院の時大泣きしてたでしょ?だから、気になってたんですよ。」
(助かったのだな、良かった。)私はそれを聞いてホッとした。私はあの時、向こう岸に行こうとしている彼女をうらやましいと思ったことが、内心後ろめたくもあったのだ。安心している風な私の返事を聞いて、由美は続けた。
「そっか三輪、松野さんの退院の時、ぼろ泣きしたもんね…松野さん、ちょっと時間良い?三輪のこと聞きたいんでしょ。」
「別にどうしてもってことではないですけど、、暇ならたくさんありますから。」
私は由美の誘いにそう答えて、1階の総合受付の待合に陣取った。

「でもこんなこと、言っても良いのかな。三輪ね、一応意識は取り戻したんだけどね、まだ予断は許せない状態なの。」
そこで、由美はため息を交えながら三輪さくらの近況を伝えた。
「彼女そんなに悪いんですか。」
「うん…1回、心肺も停止したしね。何よりもう、体中ガタガタで衰弱しきってる。」
「いったい何が原因なんですか?」
一体何がどうすれば、あの20代前半だと思しき彼女がそんな状態になるのかと私は思った。
「ダイエット…」
それに対する由美の答えは意外だった。
「ダイエット?」
そして、その原因がダイエットだと聞いて、私の顔はゆがんだかもしれない。確かに彼女はこの3~4カ月でみるみる内にスリムになったが、それがために命を失うのだとしたら、それこそ本末転倒じゃないか。
「もちろん、それだけじゃないのよ。でも、それがベースになってる。」
すると、私の表情を見てとって由美はそう付け加えた。
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