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再び桜花笑う季3

私は何故この三輪さくらという女性が泣いているのか、見当もつかなかった。私は何か彼女に失礼なことをしたんだろうか…つらつらとそんなことを考えてみるも、思い当たる節は全くと言ってなかった。

皮肉にも、その狐につままれたようなエピソードのおかげで、かろうじて私は絶望に突き進むような気持ちで父の運転する車に乗り込まずに済んだ。

「本当にお前、あの家に戻るのか…」
「ああ、俺の家はあそこだよ。それにさ、いつまでも親父たちに頼ってばっかもいらんないだろ。」
どうせ、この障害は全部消えてはなくならないのだから。今はともかく、父や母の方が先に年を取る。自活していないとずっと脛をかじることになるんだと、親たちには言い含めたが、私の本心はそこにはなかった。私が、自らたった一つ心に決めたことを実行するには、親と同居していては動きづらい。ただ、それだけだったのだ。

私の自宅マンションは既に車いすでも動けるように段差を全て取っ払い、フローリングを貼ってあった。それはそれまでの私の世界の全てを失った代償でされたものであることに、私はやるせなさを隠せなかった。こうやって自活のための方策を練っているパフォーマンスをするためだけに、翔子や穂波を失った代償を遣ってしまった自分が自分で腹立たしい。
でも、それもあと少しだ。来週には改造車の教習を受けられる。一刻も早く他の人を巻き込まないだけの技術を身につけたい。自分が舐めた辛酸を、他人に遭わせたりなんぞしたら、それこそ家族の許には向かえないと…

私は呆れるくらい直向きに、本末転倒なゼロに向かっての闘志を燃やしていたのだった。
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theme : オリジナル小説
genre : 小説・文学

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