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再び桜花笑う季2

追突された側の、翔子と穂波、そして追突した相手側の男はほぼ即死だった。そして、助手席にいた私だけが、辛うじて命の灯をつないでいるという状態だった。
しかし、それも風前の灯、全身を強く打ち、私の骨は、手、足、肩、ろっ骨と両手に余る数が折れていた。特に右足は粉砕骨折。それでも私は2度の大手術を経て奇跡的に命を取り留めたのだ。

ようやく、その事実を知ることになり、私が一人取り残されたという現実に打ちひしがれて涙を流しても、その時は自分で涙を拭うこともできない…そんな肉塊になり果てていた。

何故だ、何故私だけが死ねなかった!相手の男の違反逃れの暴走より、そんな男が愛する妻と娘と共に遠い地へと連れ去ってしまったことが腹立たしく、やるせなかった。

「会社に、そろそろ辞表出さないといけないんだろうけど…こういう場合、口頭で良いんだろうか。」
私は見舞いに来た同僚にそう言った。
私の仕事は営業職、足で稼いでなんぼの世界だ。医師には右足の粉砕骨折の完治は難しい、杖に頼らなければ長時間の歩行は無理だと診断された。もう復帰しても、以前の部署には就けない。件の事故は私から仕事も奪ってしまったのだ。

私は、ゼロ以下…マイナスからの新たな人生に期待など持てるわけもなく、しかし、私の気持ちを置き去りにしたまま周囲の努力のおかげで身体は順調に回復していき、その日、退院を迎えた。

私が退院後計画を練っていたのはただ一つだけ…私の障害のために改造された車の乗り方をマスターしたら、それに乗って誰も知らないところに行って自分の人生を終わらせる。それだけだった。

そんな私の目にいきなり飛び込んできたもの…それが私の病棟の看護師、三輪さくらの涙、
「気、気にしないでくださいね。松野さん…」
と何度も言いながら泣きじゃくる姿だった。

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