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おしどり夫婦-第二部 marine side 12

おしどり夫婦


私は、パパの葬儀の後、懐かしい千葉の家に帰った。

ママは元々小柄で食も細い人だったけど、パパが亡くなってからはますます食が細くなり、一段と小さくなってしまった気がした。だから、心配で一人置いてカナダに戻れなくなってしまったのだ。

「未来、あなたそろそろあっちに戻らなくて良いの。」
そうこうしている内に、ママの方からそう聞かれた。
「ママを一人で置いてなんか帰れないよ。」
「私は大丈夫よ。」
私の言葉にママは笑ってそう返した。
「ねぇ、一緒にカナダに来ない?あっちで一緒に住もうよ。実はね、アンヌがどうしてもママをカナダに連れて来いって、毎日メールが来てるのよ。」
「カナダへ?無理だわ。第一、マーさんの49日が明けてもいないのに。」
ママは手を振りながらそう答えた。
「じゃぁ、49日が終わったら。」
「イヤよ、あなたは言葉が解るから苦でもなかったでしょうけど。それに、この歳で外国暮らしなんてまっぴらごめんだわ。」
「じゃぁ、旅行ならいいでしょ。顔だけでも見てやってよ。本当に会いたがってるのよ。」
私がそうやって尚も食い下がると、ママはやれやれといった様子で、
「しょうがないわね、じゃぁ考えておくわ。」
と、渋々旅行ということで承諾した。

そして、私は半ば強引に49日が明けたすぐ後、カナダに行くための2人分の航空チケットを用意した。明日香も、
「その方が急にさびしくならなくて良いわよ。」
と賛成してくれていたのに…

-49日の法要が終わって、いざカナダへと向かうことになった前日の朝-
早起きのママがいつまで経っても起きてこなかった。
「ママ、具合でも悪いの?」
と、私がママの部屋を覗くと、ママはその声にも反応しないで眠ったままだった。渡航の用意とかあったから疲れているのかな…一旦はそう思って部屋を出ようとした。でも、何だか様子がおかしい気がした。第一、耳が異様に良いママが、部屋を覗いて起きなかったことなんてなかったもの。
私は恐る恐るママに近づいた。そして…私はママがもう息をしていないことに気付いた。
だけどママの顔は、本当に眠っているだけのようにしか見えない、安らかでホッとしたような顔をしていた。

-ママのお葬式で-
参列者の人々は口を揃えて、
「飯塚さんのご夫婦は本当に仲が良かったですもんねぇ。だから、ご主人が奥様を放っておけなくて迎えにこられたんですよ。」
と言った。
だけど、私はそうは思わなかった。
確かに高校生だった頃のように、二人に愛が全くなかったなんて今は思っていない。パートナーとして家族として、ママは精一杯パパを愛していたのだと思う。
それでも私は、ママがパパへの恩返しを全うしたから、自分の本来あるべき場所に戻って行った…そんな気がするのだ。

私は、パパ・ママの荷物の整理を終えた後、明日香に後の事を頼んでカナダに戻ることを決めた。
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