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誰が一番悪い?-第二部 marine side 5

誰が一番悪い?


メールは20日後の朝早く届いていた。

件名:迷惑じゃないからメールしたよっ!
本文:お姉ちゃん?!そうだよね!!今どこ?メールなんかじゃなくて連絡先教えて、どこでも電話するから!!

しかし、私が明日香のメールを見たのは、仕事から帰宅してから。時差を考えると、今すぐにメールを送っても真夜中だ。見てはいないだろうと思いつつ、電話番号を記載したメールを返信する。

件名:Re迷惑じゃないから、メールしたよっ!
本文:返事が遅くなってゴメン。今帰ったところだから。でね、今どこにいるかと言うと…カナダです。国際電話になるけど良いかな。
今の電話番号は…

メールを送信して何分もたたない内に電話が鳴った。
「Hellow.」
と英語で応対した私の耳に
「お姉ちゃん、エアメールだったから、いやな予感はしたけど、カナダって何?!」
と懐かしい声が懐かしい言い方で飛び込んできた。向こうは真夜中だろうに…もしかしたら、今日は一日連絡を待っていてくれたのかもしれない。そう言えばあの子、名古屋に家出して帰って来た時も、
『お姉ちゃん、名古屋って一体何?!』って言ってたっけ。全然変わんないじゃん…私は20年も昔の事を思い出して、思わず吹き出してしまった。
「何笑ってんのよ!だから、どうしてカナダなのかって聞いてるのよ!!」
私の笑い声を聞いて、明日香はそう言って更に怒りをぶつけてきた。
「どうしてって、今カナダに住んでるからじゃん。」
わたしはわざとおどけてそう言った。
「…心配したんだから…ホントに心配したんだから…」
「ゴメン…」
涙声でそう続けた明日香の言葉に、私も声が詰まる。
「で、達也とほのかはあんたたちの子供にちゃんとしてくれた?」
「うん…お姉ちゃんありがとね。喜んでそうさせてもらったよ。」
「良かった。」
私はホッと胸をなでおろした。
「でもね、お姉ちゃんがどんな気持ちで二人を手放したのか知ってほしくて、両方のパパやママには本当のこと言ったよ。」
「何で!そんなこと言わなくっても良かったのに!!」
「黙ってなんていられないよ。秀君がね…あの時、みんなの前で土下座したんだ。『お義父さん、ぼくをどうとでも好きにしてください。達也とほのかは僕との子供です。』ってね…」

明日香はその時のことを話し始めた。

-*-

「あああっ!お前ら親子は俺たちをどこまで苦しめたら気が済むんだ!!」
雅彦は未来の子供の父親だと告白した秀一郎の胸倉を掴んで、言葉にならない怒りも交えながら、激しく揺す振った。
「パパ、もう止めて!秀君が死んじゃう!!」
「明日香、お前は黙れっ!!」
雅彦は止めに入った明日香を乱暴に撥ね退けた。彼女は、今までにこんなに激昂した父を見たことがなく、おろおろしながら秀一郎の後ろで両手を握りしめることしかできなかった。
「明日香…良いんだ。殺されたって仕方ない。僕はそれだけのことをしたんだよ。でも…僕はあの時は本気でお姉ちゃん、いいえ未来さんを愛してました。だから、どんなことをしても手に入れたかったんです。それだけは、解ってください」
秀一郎は明日香に向かってかすかに微笑みかけると、振り回されながら雅彦にそう返した。
「解れだと…解れだと!!本気で未来に惚れていたなら、子供たちが出来たと分かった時、何で今みたいにしなかった。その上、明日香まで!今更寝言も大概にしろ!!」
「僕はちゃんと子供の父親になると彼女に言いました。だけど…彼女はそれを受け入れてはくれなかったんです。はっきり『迷惑だ』と言われました。」
「…未来が…未来がそう言ったのか?…」
だが、秀一郎のその言葉に、雅彦の肩が落ち、秀一郎に込めた力が一瞬ふっと緩んだ。
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