スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

第二部 marine side 2

明日香に下された診断は卵巣のう腫。しかもすでに破裂した状態だった。すぐに手術が行われて、明日香は卵巣の一つを失った。

それにしても、結婚間もない明日香がどうしてこんな病に冒されなければならないのだろう。

性格は明日香の方が私よりママに似ている。あの子はあっちのママと同じように、辛くても我慢をし続けたんだ、きっと…

「ねぇ、未来。明日香が未来に折り入って話があるって言うんだけど。二人きりで話したいんだって。」
病院から帰って来たママが私にそう言った。
「うん、解った。じゃぁ、明日はママが保育所に迎えに行ってくれる?」
「解ったわ。」

一体明日香は、私に何の話があるのだろう。そう思いながら私は、翌日明日香の病室を訪れた。
「明日香、ごめんね。昨日は来れなくて。少しは楽になった?」
「うん、もう大丈夫だよ。それに、気にしないで、お姉ちゃんにはたっくんやほのちゃんがいるんだもの。こっちこそわざわざ来てもらってゴメンね。」
明日香は私の謝罪の言葉に笑顔でそう返した。
「でね、今日わざわざ来てもらったのって、お姉ちゃんに折り入ってお願いがあるのよ。」
「お願い?」
「ねぇ、お姉ちゃん…たっくんとほのちゃんは、秀君の子供だよね。あの子たちを秀君の子供として認知したいの。」
「…!…あの…それは…違う…」
私はその台詞に一瞬言葉を失いしどろもどろに訳のわからないことを口走った。
「違わないよ、たっくんのしぐさは秀君そっくりだよ。」
「あ、あれは…あんたたちの方が私よりあの子たちの面倒を見てくれてるから、達也は秀一郎の真似をしてるだけのことだわ。」
私は、ドキドキとどっと流れる汗を感じながら、辛ろうじてそう答えた。
「ううん、それだけじゃなくて二人の目元も似てるわ。」
「違うったら、ちがうって!!」
私はそこが病室だということも忘れて、大声で否定していた。
「ゴメンね…私、たぶん罰が当たったんだわ。私、お姉ちゃんが秀君が好きなのも、秀君がお姉ちゃんを好きなのも知ってた。お姉ちゃんに子供が出来たとわかって、子供たちのパパの名前も明かさないでお姉ちゃんが産むって言った時に、私はその子たちが秀君の子供だって判ったよ。
だけど…私も好きだったの。秀君を誰にも渡したくなかったの。だから、何も知らないフリをし続けたわ。」
「だからって認知?明日香、あんたにはもう一つ卵巣が残ってんだよ。それで秀一郎との子供産めば済むことじゃない。あれは、事故みたいなものだし、そんなので認知だなんてダメだよ。」
私は明日香から繰り出された認知と言う言葉に当惑し、つい子供たちを秀一郎との子供だと認める発言をしてしまっていた。
「だけど、私にも子供が産まれたら、2人はどうなるの?秀君と距離を置かなきゃならなくなるじゃない。あの子たちは秀君の子供なんでしょ。秀君をちゃんとパパと呼ばせてあげなきゃいけなくない?
今回の事で私、踏ん切りがついたの。一つの卵巣の私と、あの病気にかかった秀君となら、たぶん望んでも授からないだろうってみんな思うだろうから。今なら受け入れられるわ、きっと。」
どうして明日香はこんなに自分が苦しむことになることを自ら提案したりするのだろう。
こんなに近くにいるのに、父親と呼ばせてやれないことを私も不憫には思っていたけど、それは仕方がないと思っていた。
赤の他人が妻の座に納まっているのなら声高に認知を主張してちゃっかり愛人の座に納まることもできる。でも、明日香は私の妹だ。姉の私にそんなことが出来るわけがないじゃないの。ましてや、そのことによって明日香から子供を産み育てる選択肢まで取り上げるなんてことは、考えるのもイヤだ。
「とにかく、お断りだわ!そんなことをしたって、誰も幸せにはならないじゃない!!」
私は悲鳴のようにそう言い放つと、病室を後にした。

認知なんてダメ、認知なんて絶対に!!
でも、明日香は自分たちの子供は持たないんじゃないかと思った。
みんなが幸せになるには…どうすればいいんだろう。

そうやって思いを巡らせていたとき、私の頭に一つの単語が思い浮かんだ。
…そうだ、あの方法なら…今なら、間に合うかも知れない。
私は、子供たちを寝かしつけた後、パソコンを開いて検索をかけた。

そして、思っていた項目を探し当てた。

-見つけた!明日香も子供たちもが幸せになる方法を!!-
そして、その画面を私は、ずっと涙を流しながら見つめ続けた。
スポンサーサイト

theme : 自作連載小説
genre : 小説・文学

comment

Secret

プロフィール

こうやまたすく

Author:こうやまたすく
FC2ブログへようこそ!

最新記事

最新コメント

最新トラックバック

月別アーカイブ

FC2カウンター

カテゴリ

Web page translation

検索フォーム

RSSリンクの表示

リンク

ブロとも申請フォーム

QRコード

QRコード
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。