スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

メビウスの輪-第二部 marine side 1

メビウスの輪


あっちのママが死んだ…

告別式での龍太郎さんの演奏に泣きながら目覚めると、現実でも「アルビノーニのアダージョ」が流れていた。こっちでもママが聞いているのだ。
…そう言えば、今日は龍太郎さんの月命日の日だ。お互い遺された方の2人は、パラレルワールドの双方の岸辺で呼び合っているのかもしれない。

それにしても、ヤナのおじさんが好きな相手が龍太郎さんだなんて…びっくりを通り越して鳥肌立っちゃった。
そう言えば秀一郎が前に、『気がつけばいつも見られている様な気がする』って言ってたっけ。あれって、思いすごしじゃなくって、本当にそうなのかもしれない。あれは、彼が昔を懐かしんでるのではなく、龍太郎の面影が残る秀一郎の事を愛おしんで見ているが、正解なのかも。だから、秀一郎は無意識にでもその空気を感じ取って『怖い』と思ったのだ。
ヤナのおじさんが志穂さんと結婚したのは、ママと龍太郎さんの二人が別れた時、『君なら海を渡しても構わない』と龍太郎さんに言われても、本当は龍太郎さんの方が好きな彼はそれを聞き入れることが出来なかった。そのために後々龍太郎さんは死ぬことになってしまった。そう思っているからだと思う。
ママが私の言葉に反応して、自殺未遂を起こした時、おじさんはひどく取り乱していた。まるで呻くかのような声で、『俺のせいだ』って言うのも聞こえたし。ただ、あの時は、あの場にいるみんなが自分のせいだと思っていたのかも知れないけれど…

そう、誰のせいでもないのだ。当の龍太郎さん本人でさえ、ママを愛するが故の行動だったのだから。そして、少しずつみんなが悪いのかもしれない。

だけど、微妙に形を変えながら同じ道を歩んでいる私たち。あっちのママが死んだ今、誰かが亡くなったりしなきゃ良いけど…そう思いながらリビングに出て行くと、ママが眉間を押さえて苦しそうにしている。
「ママ、どうしたの?大丈夫?!」
まさか、こっちのママまで…?!
「あら…未来おはよう。一体何、慌ててるの?」
私の言葉にママは顔を上げて驚いた様子でそう言った。
「ねぇ、どこか辛いの?」
「えっ、いいえ?新聞読んでて疲れただけよ。元々ど近眼だからと思って裸眼で読んでるけど、もうそろそろ老眼鏡買わないとダメだわ。何か寂しいわね。」
「ホントにそれだけ?ホントに大丈夫なの?」
「ウソじゃないわよ、おかしな子ね。どうしたの、今日は。それより、早くしないと二人のお弁当間に合わなくなっちゃうわよ。私は未来みたいにキャラ弁なんて作れないからね。」
必死になって聞く私に、ママは首を傾げながら笑って答えた。そう言いながら、ベースのおかずはちゃんと用意してくれている。後は私が達也やほのかの好きなキャラクターに似せて盛り付けるだけだ。
「ママもやりだすと凝る方だと思うけどな。」
と私が言うと、
「そうよ、分かってるからやらないの。子供おっぽりだして仕事してる罪滅ぼしよ。それくらいあんたがやらなきゃね。」
なんて答えがママから返ってきた。
「はいはい、分かりましたよ。」
私はそう返事して台所に立った。

…その時、電話が鳴った。ママが出た。
「はい、もしもし飯塚です。なんだ、秀一郎君?えっ…分かったわ、すぐ行くから。〇〇病院ね。」
私は〇〇病院と言う言葉に凍りついた。それは、あっちのママが入院していた病院名。一体、誰が?!
電話を終えたママは、唇をプルプル震わせながら、こう告げた。
「明日香が…明日香が急に苦しみだして、その上不正出血まであるらしくて…秀一郎君が救急車で病院に運んだからって連絡が…私、いまからすぐ病院に行ってくるから。マーさん、マーさん!!」
そして、パパにもそのことを知らせるために、ママはバタバタとママたちの部屋に駆け込んで行った。


スポンサーサイト

comment

Secret

プロフィール

こうやまたすく

Author:こうやまたすく
FC2ブログへようこそ!

最新記事

最新コメント

最新トラックバック

月別アーカイブ

FC2カウンター

カテゴリ

Web page translation

検索フォーム

RSSリンクの表示

リンク

ブロとも申請フォーム

QRコード

QRコード
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。