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第二部chffon side 2

「お義母様だいじょうぶですか!」
「え…ええ…大丈夫よ…こうしてればすぐ良くなるわ。」
思わず安否を尋ねてしまった私に、お義母様はこう答えたけど、どう見たって大丈夫という感じではなかった。
「お義父様に連絡!それとも救急車!」
そう叫んだ私に、お義母様は弱々しく手を振りながら答えた。
「良いわよ…大げさにしないで…」
「じゃぁ、秀一郎さんに…」
「ねぇ、本当に大丈夫だから、ねっ。もう痛みも治まったわ。」
そう言ってムリに立ち上がったお義母様はまだ肩で息をしていた。
「お義母様!」
「お部屋で少し横になるわ。そしたら、もう本当に大丈夫。心配しないで。」
そして、よろよろと寝室に向かって歩き始めたお義母様を支えて、私はお義母様たちの寝室のベッドに彼女を寝かせた。
「ウチの母に今から連絡して、龍也と穂波を迎えに行ってもらってここに残ります。」
「そんなことをしたら、志穂さんにもあの子たちにも心配かけちゃうわ。大丈夫よ、少し寝るから。あなたは龍也くんと穂波ちゃんを迎えに行って。」
お義母様はそういうと、目を瞑った。
「じゃぁ、私帰ります。本当にそれで宜しいんですか。」
「お願い、そうして。それから、お肉も適当なものに入れて持って帰ってね。」
「はい、解りました。」
私は、それで渋々寝室を出た。

そして、お義母様のそばを離れた私は、すぐにお義父様に電話を入れた。秘書課に電話を入れて、お義父様に取り次ぎを頼む。しばらくして、お義父様が電話に出た。
「海、こんな時間に電話なんて何の用?」
私は、秘書の人に『結城です、社長をお願いします』と言っただけだった。普段、お義母様もそんな言い方で電話されているのだろうか、その人はお義母様と言って取り次いだようだった。
「いえ、未来です。」
「えっ、未来さん?どうしたの一体。」
「あの…告げ口するみたいで心苦しいんですけど、今お義母様が真っ蒼なお顔でお腹を押さえてらしたもんですから。救急車を呼ぼうとしたんですが、そのまま寝てれば良いっておっしゃって聞かないんです。何だか、本当にお具合悪そうだし…一応お義父様のお耳に入れておいた方が良いと思いまして。」
「解った、私が何とかして病院に連れていくようにするよ。昔から彼女は少々辛くても我慢してしまう性質なんだ。ありがとう、知らせてくれて良かったよ。」
「じゃぁ、お願いします。」
私はそう言って電話を切った。気は重かったけど、検査をして何もなければそれで『良かったね』で終わる…そう思っていたのだ。

でも、何日かして、今度はお義父様から電話がかかってきた。
「未来さん、この前はありがとう。」
「いいえ、とんでもない。わざわざお礼なんて良いですよ。それより、お義母様はどうでした?」
わざわざ電話をもらったことに一抹の不安を感じながら、わたしはそう訪ねた。
「そのことなんだけど…今日、入院させたよ。」
「えっ?入院ですか?」
私はお義母様が入院したと聞いてびっくりした。
「ああ…彼女は嫌がったけどね。もっとよく検査しようって言ってね。」
「お義母様そんなにお悪いんですか?」
私がそう言うと、お義父様は少しの間の後、徐に辛そうに切り出した。
「秀一郎にはさっき電話で話したんだけど、あの子から君に伝えさせるのはかわいそうだと思ってね。…海は…彼女はもう長くないよ。」
私は一瞬、息が止まった。
「がんが見つかったんだ。それももう、転移している…長くて後3ヶ月だそうだ…」
続けてお義父様はそう言った。でも何だか、お義父様のその台詞はテレビドラマを見ているみたいで、私にはちっとも現実感がなかった。
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