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marine side 21

そう、父親として確率の高いのは克也より秀一郎の方…明日香とはまだだったらしくて、初めての彼にはコントロールなんて利くはずもなく、酔いも手伝ってあっという間に私の中で果ててしまった。そのことにまったく不安を感じなかったと言えばウソになる。
ただ、私は龍太郎さんとママが別れた原因って『病気のためにふつうには子供はできない』と医師に診断されたこと。そして、その同じ病気に秀一郎もかかってしまったってことに、一縷の望みを抱いていたのだ。そのなけなしの望みだって、治療は日進月歩で進化しているし、結局志穂さんは秀一郎を産んだ訳だし。ただの気休めでしかなかったのだけど。

-そりゃ、イタイな。それでもやっぱり産むんだ。-
そんなことを思っていた私に、けがをした人のデコメを入れたメールが届く。
-うん、秀一郎の子供なら、どうしたって産みたいよ。それにウチ、弟が死んで生まれてきてるんだ。だから、生まれようとしてがんばってる命は殺せないってパパが言ってくれてさ、父親の名前も聞かないし、全面的にバックアップするって言ってくれたんだ。-
-そっか、じゃぁ、がんばれってしか言えないけど、ガンバレミクすけ!!-
清華の最後のメールにはマッチョな力こぶが躍っていた。
-ありがとう、清華-
私たちは、そこでメールを終えた。

それからしばらくして、また着信音がなった。今度はワンフレーズ聞いただけで私は固まった。それは、秀一郎の着信音だったから。それでも私は、一度深呼吸をしてから、徐に着信ボタンを押した。
「何?」
平静を装いそう聞いた。
「帰って来たって明日香から聞いて…」
「うん、今日帰ってきた。いっぱい…電話くれたんだね。」
私がさっき久しぶりに着信履歴を見たとき、そこにはものすごい数の結城秀一郎という名前が羅列されていた。たぶん、明日香から私が携帯を持たずに出たことは聞いているだろうに…
そして、息の音がして(たぶん深呼吸したんだと思う)
「明日香に聞いたんだけど、あれ…」
と遠慮がちに私に尋ねた。
「それはないよ。」
秀一郎の言葉を最後まで聞くこともなく、私はぴしゃりと跳ね返した。それは絶対に子供の事に決まっているから。
「ってか、電話なんかでそんな話しないで。」
今この部屋にいないまでも、すぐ隣のリビングに明日香はいる。そんな中ではどんな話もできない。明日香はママのように自分が出ていない電話の受け答えまでする耳は持ってはいないとはわかってはいても。
「じゃぁ、会いたい。」
「明日なら…時間取れる?明日にはママも仕事に行くだろうし、抜け出して秀一郎んとこいくけど。」
「午前中は授業があるけど、昼からなら。でも、今日帰って聞いて明日また東京まで出てくるのって、身体に障るといけないし、俺がそっちに行くから。」
秀一郎のマンションに行くと言った私に、秀一郎はそう返した。
「じゃぁ、2時に〇〇駅の××で待ってる。」
身体の事をいたわってくれるのは正直うれしかったけど、こんな話を外でするのはちょっと辛いな、そう思いながら私は少し家から離れたターミナル駅のファミレスを指定していた。
「分かった。」
秀一郎はそう言うと、電話を切った。

ああもう!明日香がすぐ近くにいる空間で、こんな話するなんて本当に心臓に良くない。
疲れちゃった…

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