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父親(後)-marine side 20

父親(後)


うとうとしていると、携帯で起こされた。この着信音は…良かった、清華だ。私は家に置きっぱなしだった携帯電話に手を伸ばした。

「もしもし。」
「あ、やっとつかまったよ。おかえり。ミクすけごめんね、チクっちゃって。」
清華は開口一番、私に謝った。
「良いよ、おかげで踏ん切りもついたしね。」
「シカトしようかとも思ったんだけどね、あのおばさん、わざわざ電話くれてんだし、なんか良さ気だったし。」
「うん、板倉さんには随分お世話になったんだ。今回の事がなきゃ、私ずっと名古屋で暮らしてたと思う。」
「そっか。それで…おばさんの話、あれホントなの?」
加奈子さん、清華に子供の事話しちゃったみたいだ。
「ホントだよ。」
私が肯定すると、清華はしばらくの間無言だった。
「ホントなのか…独りで育てるのは大変だからね。ウチのノンちゃんとこ、ノンちゃんはもう6歳になってたけど、それでもサユママはすごく苦労してたもん。」
ノンちゃんと言うのは清華のお兄ちゃん、周人さんの奥さんの乃笑留さんという人の事。ノンちゃんのお父さんはノンちゃんが小学校に上がる直前、交通事故で世を去った。
それで、ノンちゃんのママはたった一人でノンちゃんを立派に育て上げ、ノンちゃんは今、管理栄養士をしている。
「で、どうするの?あっちには知らせるんでしょ。」
あっちって言うのはたぶん、克也の事だろう。
「ねぇ、メールに切り替えていい?」
「あ、うん…いいよ。じゃ、一旦切るわ。」
清華が着信を切ったので、私は徐にメール画面を出して入力した。
-ゴメン、隣のリビングに明日香がいるから、聞かせたくなかったんだ。それで、産むには産むけど、克也に知らせる気はないよ-
そう入れて送ると、間髪いれずに清華から返信があった。
-んなこと言ったって、あっちは父親でしょうが。いくら親が決めた婚約者でも、状況はこっちが有利じゃない。押しちゃえ押しちゃえ!-
有利か…私が克也だけを思っているのなら、そうなんだろうな。
-有利とかそういう問題じゃないのよ。というか、克也じゃないかも知んないの-
そう送ったら、ムンクの叫びのようなデコメが施されたメールが送信されてきた。
-!!!まさか、あの子と?!聞いてないよぉ!!-
清華には本当は秀一郎が好きだということは話してあったけど、さすがに今回の事は話してはいなかったのだ。
-そのまさか。だから、私は秀一郎から離れるために名古屋に行ったのに-
私は続いてそう送信した後、ため息をついた。
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